とにかくこのファイナルに賭けるバンドの意気込みは並々ならぬものがあって、それは過去最大規模のワンマンであるということだけじゃなく、ツアー前に彼らを襲った不測の事態が大きな要因となっている。つまり、ドラマー・Katsumaが病気療養のためバンドを一時離脱せざるをえなくなり、急遽、サポート・メンバーを迎えてサウンドを組み直さなければならなかったのだ。しかし、この夜も最後尾を担ったYOUTH-K(BPM13GROOVE)のビートとバンドのグルーヴは分かちがたい一体感を誇り、鉄壁のウォール・オブ・サウンドとなってEASTに共鳴(短期間でここまでのコンディションに持ってきた両者の技量と心意気に拍手!)。「まだ一度もありがとうって言ってなくて、忘れないうちに言っておきます……YOUTH-K、ありがとう!!」(Masato)と心からのサンキューを届け、メンバーはたびたびYOUTH-Kを振り返ってアイコンタクトを交わすなど、ファイナルには盟友に対する感謝にも満ち溢れていたのだった。
「Adrenaline」「Rise & Fall」「Inside Of Me」など、丸ごとフロアを飛び上がらせた序盤の攻勢もスゴかったし、「Deja vu」の雄大なサウンド・スケープでオーディエンスを魅了した中盤も聴きどころだったけれど、ひとつのハイライトといえるのが後半に披露された「Miss You」のアコースティック・セット。「ちょっと違うことやってみてもいいッスか? 正直めっちゃ緊張するけど……」(Masato)と苦笑いしつつ、Y.K.CとSugiによる2本のアコースティック・ギターが儚くもリリカルな景色を描き、Masatoは精いっぱいのエモーションを込めて熱唱――この時ばかりは誰もが固唾を飲んで聴き入り、力技だけじゃないcoldrainの底知れぬポテンシャルを感じさせた(「いつかアコースティック・アルバムを出そうと思います」(Masato)との宣言も!)。
そして、何といってもこの夜のいちばんの成果は、冒頭でも述べた燃え盛るようなユニティ感だろう。「ここにいるのは誰も敵じゃねえ! 助け合って、暴れ合って、最後まで行こうぜ!!」と冒頭からMasatoは結束を煽り、「1,200人のヘドバンを見せてくれませんか!? 直接対決……coldrain 対 EAST!」(Masato)と叫べば、「Die tomorrow」でフロア中の生首が激震。「今の気持ち忘れんな! またやろうぜ! 振り絞れ!!」(Masato)と本編ラスト「To Be Alive」でも熱烈なモッシュ&ダイブがEASTを席巻(遂にはMasatoがスピーカー上からダイブ!)と、バンドとオーディエンス一丸となった熱狂がマジ圧巻。ここまでファンを共闘状態に持ち込む求心力は、一体どこからくるのか? きっと、「正直coldrainはいつも100%ではありません。今も成長過程であって、まだまだだなって思うことばかりで、常にどっかに向かって登ってます。そんな成長過程なんて見たくねぇよ!っていうヤツは、また数年後にライブに来てほしい。でも、一緒にデカくなって、一緒に作っていきたいって人は、これからもよろしくお願いします!」(Masato)とのMCが象徴的だが、両者がどこまでも対等であり、みんながcoldrainという物語の一部となっているからだろう。終盤、「全員でラウド・ロック作り上げていくぜ! デッカくするぜ!!」とのMasatoの呼びかけに万雷の歓声が湧き上がったとおり、このユニティはまだまだ拡大するに違いない。(奥村明裕)