MONOBRIGHT @ 渋谷クラブクアトロ

『LIVE TOUR 2013 「Remain in MONOBRIGHT ~白ポロより愛をこめて~」

去る1月30日に発表したベストアルバム『MONOBRIGHT BEST ALBUM ~Remain in MONOBRIGHT~』を携えた全国ツアー『LIVE TOUR 2013 「Remain in MONOBRIGHT ~白ポロより愛をこめて~」』 。そのセミファイナルとなる渋谷クアトロ公演は、鬼嫁・ヒダカトオルによる調教と蜜月を経て、再び4人体制のオリジナルMONOBRIGHTとして打って出んとする、その決意と意気込みに溢れた2時間だった。冒頭の桃野(Vo・G)の影アナこそおふざけ全開だったけれど(LUNA SEAの素晴らしさを力説、そして唐突に「ウルトラソウル!」笑)、ステージに登った4人は、どこか張り詰めた緊張感をまとってストイックにプレイ。まだ札幌ファイナルが残っているので曲目の記載は最小限に留めますが、“虹色ver.2”などバンドはより筋肉質かつグルーヴィに増強されたアンサンブルで攻め立てて(「シブヤ! クアトロ! かかって来いよっ!!」と桃野も勇ましくアジテート!)、場内の熱気はみるみる上昇。5年ほど前、代々木のザーザーズーで勢いよく空回っていた4人を思うと隔世の感を抱いてしまうほど、いい意味で地に足のついた堂々たるパフォーマンスだ。

「ベストアルバム(『MONOBRIGHT BEST ALBUM ~Remain in MONOBRIGHT~』)からの曲を披露するということで、僕らの5~6年の活動をギュッと詰め込んだ内容。今までで最高のライブをします!」(桃野)と最初のMCではツアーコンセプトと共に熱く決意表明。構成にもこれまでにない趣向が凝らされていて、ライブ中盤には、おもむろに「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988年公開のイタリア映画)のSEが流れ、「MONOBRIGHT版ニュー・シネマ・パラダイス」(by 桃野)が展開されることに。「少年は故郷を捨て、新しい街で、新たな生活を始めます――」、「そこで少年は、ひとつの壁にぶち当たります」、「少年は大人になり、ひとりの女性に出会います……」といった桃野のナレーションを交えて、“旅立ちと少年2”などコンセプチュアルな楽曲配置で少年から大人への成長譚が描き出されていく。約30分にわたる陰影とドラマツルギーに満ちた物語を、オーディエンスはまさに名画を鑑賞するようにその物語に浸っていく。MONOBRIGHTの確かな筆力を見せつけると共に、バンドの表現が新たなフェーズに達したことを告げる名演だったと思う。

「革命を起こそうぜクアトロ~!!」(桃野)と、後半戦は“REVOLUTION”を筆頭に文字通り昇竜の勢いで猛攻! 頭と下半身を激しく振り乱して、桃野はモジャモジャ頭をさらにモジャモジャにして歌い叫び、最後尾のタッキー(瀧谷翼)は、普段のシャイな彼からは想像がつかないほど、饒舌かつダイナミックなドラミングで魅了する。そのタッキー、メンバー紹介ではステージ前に歩み出て、桃野からのムチャブリで事務所の大先輩・大泉洋のモノマネを披露……するも、どう好意的に聞いてもそれはマギー司郎であり、不甲斐ない自分にうなだれるのだが、「いつやるの?」の問いかけには渾身の「今でしょ!!」を叫んでガッツポーズ! こんがらがりながらも絶賛覚醒中のタッキーであった(笑)。

アンコールでは、「ちょっと、ホントに久々の曲をやります」(桃野)とレアなナンバーも届けて、セミファイナルは大盛況のなか幕を閉じた。「僕らがこうやって活動できてるのは、ホントにみなさんのお陰だと思います。ありがとうございます! 言うけど、みなさん歳取った(笑)。僕らも歳取った。それでいいじゃないかと。お互いに音楽で刺激をぶつけ合って、いつまでも一緒にライブ作って行きましょう!」(桃野)――数々の試行錯誤を経て深まった自信と感謝を胸に、MONOBRIGHTは今後も臆することなく未踏のけもの道を切り拓いていくに違いない。4人の進軍に期待!(奥村明裕)