ケイティ・ペリー(U-EXPRESS LIVE 2014) @ さいたまスーパーアリーナ

圧倒されっ放しのパフォーマンスだった。2日間に亙って行われたユニバーサルミュージック主催のライヴ・イヴェント「U-EXPRESS LIVE 2014」に出演したケイティ・ペリー。この日は出演順にシェネル、Una、ジェイミン、きゃりーぱみゅぱみゅ(Special Guest)、少女時代という華やかなガールズ・アクトの顔ぶれを締め括るヘッドライナーの役回りだったが、自身のドキュメンタリー映画『パート・オブ・ミー3D』や昨年の新作『プリズム』のタイミングでプロモーション来日は行われたものの、日本での一般向けライヴ・パフォーマンスは実に約3年ぶり。待望のステージである。

沸々と盛り上がるイントロから耳を劈くような「JAPAN!!」の掛け声一閃、オープニングはメジャーでのデビュー曲“I Kissed a Girl”だ。新作の作風からして、よりエレクトロニック色の強いパフォーマンスもあり得るかと思っていたが、ドレスアップした敏腕バンドとコーラス隊、もちろん大勢のダンサーも登場する賑々しいステージである。熱を帯びたヴォーカルを届けながら、男性ギタリストの足元に仰向けスライディングを決めるエキサイティングなケイティ。序盤から全開である。

続いて目下の最新シングル“Dark Horse”に持ち込む。音源ではジューシー・Jをフィーチャーしたナンバーだったが、今回は日本人シンガーのTEEを招いたヴァージョンだ。互いに絡み付くようなヴォーカル・ワークがセクシー。なお、“Dark Horse (feat. TEE)”は、3/2よりiTunes Storeでの配信リリースがスタートしている。アップリフティングなダンス・ポップ“Part of Me”では、ステージに火柱が吹き上がる特効も持ち込まれ、ケイティはダンサー陣と共にダイナミックな振り付けも披露する。「みんな元気だった? たくさんの日本のファンのみんなを待たせてしまって、ようやく会えたね! 来年1月に、またここに戻って来るよ!」とステージ上から再来日の約束を交わし、大喝采を浴びるのだった。

“California Gurls”の煌びやかで華やいだ時間帯はさすがに盛り上がりを見せるけれども、今のケイティにとってはまだまだクライマックスは先の話だよ、という余裕さえ窺える。《To the Golden Coast》の歌詞を《To the Japanese Coast》に差し替え、ピアノの旋律を交えながらエモーショナルに展開してゆく“Wide Awake”では、オーディエンスのクラップが自然発生。スウェイやシンガロングも加えられて、視覚的にもその壮大なスケール感が助長されていった。前回ツアー時のガーリーでカラフルな世界観から一転、『サタデー・ナイト・フィーバー』的なレトロでちょっと大人びたヴィジュアル・コンセプト(ケイティは『パルプ・フィクション』のユマ・サーマンみたいだ)に移行し、時にバンド・メンバーやダンサーたちとじゃれるようにしながらパフォーマンスを楽しんでいるケイティだが、3人のダンサーに高くリフトされながら歌う“E.T.”にしても、その力強いヴォーカルが揺らぐことは決してない。ファッション性や音楽性の変遷ももちろん魅力に満ちているけれど、ケイティは何より、その夢へと向かう信念を100パーセント、歌声に乗せることが出来てしまうシンガーなのである。

「最高のステージに立つことが出来て嬉しいわ。大好きなアーティストとも共演できたしね。きゃりーぱみゅぱみゅ、あのコ、ホンットに可愛いよね! さあ、じゃあ、サタデー・ナイトよ! あれ、サンデーだっけ? みんな、仕事が終わったら一緒にビール飲もうね! それともサケ?」と告げて、眩く浮遊感溢れる新作曲“Walking On Air”へとオーディエンスを誘い込むケイティである。一方、当のきゃりーもまた、自らのステージ上では「まだ高校生だった頃に、彼女(ケイティ)みたいに可愛い世界観の表現がしたいと思いました」と熱弁を振るっていた。“Last Friday Night (T.G.I.F.)”を披露すると、「miaw…」という猫の鳴き真似から徐々に強烈な咆哮へとその声を変え、ジャングルのCG映像を背景にワイルドな“Roar”を繰り出してゆく。なぜかエクササイズ風に縄跳びが持ち込まれ、ケイティはパフォーマンスの最中に果敢にも二重跳びにトライするというユーモラスな一幕もあったが、最後には拳を振りかざして「アリガトウ! Good night!!」と挨拶して本編を締め括る。

アンコールに応えて、まず披露されたのは“Unconditionally”。単独ライヴではないけれども、シングル・ヒットをこれでもかと詰め込むオール・タイム・ケイティなステージになった。そして「勇ましさと、美しさと、輝きと、火花の歌よ」と最後に披露されたのは、背景一杯に花火が咲き乱れる中での“Firework”である。会場一面がバウンスする、最高のクライマックスだ。正直に言えば聴きたい曲はまだまだたくさんあったけれど、『Prismatic World Tour』の流れを汲むはずの、来年の来日公演に向けて、楽しみにしておきたい。目の前の光景を一瞬にして塗り替えるケイティの歌の力を、より多くの人にも体験して欲しい。ぜひとも、来日公演続報のチェックを。(小池宏和)

セットリスト
01 I Kissed a Girl
02 Dark Horse
03 Part of Me
04 California Gurls/Teenage Dream
05 Wide Awake
06 Hot N Cold
07 E.T.
08 Walking On Air
09 Last Friday Night (T.G.I.F.)
10 Roar
encore
11 Unconditionally
12 Firework
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