今年も夏フェスの季節がやってきた! 「サマーソニック2019」必見アーティストを一気にチェック

2019年8月16日(金)・17日(土)・18日(日)の3日間、東京と大阪で開催される「サマーソニック2019」。毎年豪華なラインナップが話題になるが、今年は20周年を迎えるとあって、B'z、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・チェインスモーカーズといった、全方位カバーのヘッドライナーが君臨することが決定している。未だかつてないほど幅広い面々が揃い、エポックメーキングな3日間になることは確実! の3日間、必見のアーティストをピックアップしてお届けする。(出演日、ステージ名は東京会場の表記となります)


SUMMER SONIC 8.16

B’z


昨年9月をもってデビューから満30年を迎え、去る5月には31年目を象徴する通算21作目のオリジナル・アルバム『NEW LOVE』を発表しているB’z。彼らがいわゆるヒットメイカーとして他の追随を許さぬ実績の持ち主であることに異論を唱える人は皆無だろうが、セールス的な数字以上に評価されるべきは、彼らの音楽との出会いによりロックに目覚めた日本人がいかに多いか、という点だ。しかも彼らは音楽地図における特定の地点にだけ安住するのではなく、実は時流にも敏感に反応しながら、実験と変化を重ねてきた。それでもほぼ不変に近いイメージがあるのは、B’zというブランドとしてのビジョンに歪みや曇りがなく、彼らなりの普遍性を常に、その軸としてきたからこそだろう。

さらにB’zのライブには、極上のエンターテインメント性と有無を言わさぬ説得力が伴っていて、彼らのCDを1枚も持っていないような人たちですらいつのまにか納得させ、自然に夢中にさせてしまうような魔力がある。それはサマーソニックの歴史において、リンキン・パークとステージを共にした2009年にも実証されているし、2013年に『エアロソニック』と銘打ちながらエアロスミスと共演した際には、筆者自身、B’zのライブ・パフォーマンスに軍配をあげたくなるほどだった。そんなサマーソニックと縁浅からぬ彼らが、このフェスが20周年を迎えた記念すべき節目にヘッドライナーとして登場するというのは実に理に適っているし、ファン・クラブにでも入らない限りなかなかチケットが手に入れられない彼らのライブをこのフェスで味わえるというチャンスを逸したくないところだ。

そのステージでは当然のごとく日本のメインストリーム・シーンのヒット史を彩ってきたロック・ソングの数々が、最新曲群ともども惜しみなく披露されることだろう。そこで彼らの素晴らしさを再発見する人も少なくないはずだし、「何故、今まで目を向けてこなかったのか?」と悔やむ人もきっといるに違いない。これは、そうした人たちがB’zとの付き合いを新たに始める絶好の機会であると同時に、もしかするとラスト・チャンスになるのかもしれない。なにしろ無敵のB’zにすら永遠というものはなく、だからこそ彼らは31年にもわたり、こうして常に冒険を重ねてきたのだから。(増田勇一)


The 1975


傑作ニュー・アルバム『ネット上の人間関係についての簡単な調査』によって、The 1975は軽やかに時代をホッピングするヒップスター・バンドから、自らの音楽に時代を投射するシリアスな表現体へと激変した。サマソニのアリーナで聴けるのは14年以来となる今回(海外では既にヘッドライナー級だが)は、過去3回とは次元を異にするステージになるだろうし、テン年代のサマソニを締めくくるのに彼らほど象徴的なアクトはいないのではないか。 (粉川しの)


FALL OUT BOY


昨年は1月に新作『マ ニ ア』をリリースし、4月に武道館公演を含む来日ツアーを行ったフォール・アウト・ボーイが、再び日本にやってくる。エモ/ポップ・パンクを出自としながら、ロック・バンド不遇の時代で、新たな道を切り拓き続けている彼ら。オルタナティブ・ヒップホップの代表格であるnothing,nowhere.をフィーチャーした“Church”にも、その姿勢は表れている。王道も刺激も味わえるパフォーマンスは、キッズでなくても必見。(高橋美穂)



SUMMER SONIC 8.17

RED HOT CHILI PEPPERS


凄いものを観てるとしか言えなかったレッチリのギザ・ピラミッド・ライブ。16年の『ザ・ゲッタウェイ』以来となる新作レコーディング入りか、と言われたのが昨年秋のこと。それからなかなかニュースが伝わってこないのだが、ライブ・バンドとしての成熟と洗練は、極限にまで達している。

ジョシュ・クリングホッファーが入って、早いもので、もう10年近く。彼が入って1年ほどした11年に来日もなされたが、それまでフジロック専属のようだった彼らが初のサマーソニック登場で大きな話題となった。ライブ・レポもやったのでよく覚えているのだが、ライブではどうなっているんだろうと、期待と不安がない交ぜだった観客を“バイ・ザ・ウェイ”、“チャーリー”、“キャント・ストップ”の幕開け三連発で、完全掌握した。

中盤の“エチオピア”では新体制モードへの信頼が確信へと変わり、それに合わすようにジョシュもフリーキーなソロを繰り出すようになって、そんな姿を真っ正面からアンソニー、フリー、チャドが受け止めている光景に胸が熱くなったのだが、最近ではアンコールの1曲目でジョシュがソロをやることが多い。先日のギザではレディオヘッドの“ピラミッド・ソング”を披露なんてことにまでなるなど、すっかり巨大な存在感を示している。

バンド全体でもライブの頭からガガンと飛ばして、ファンク、パンクがごった煮の壮絶なインプロへと突入していく姿は、30年にわたってトップに君臨する大物というよりは、LAのストリートで必死にもがくバンドのようでもある。

『ザ・ゲッタウェイ』からのナンバーも含め、いまのセットリストは、オールキャリアからバランスよくピックアップされている。結果としてレッチリ・ヒストリーをたどれ、しかもどれも保証付きの魅力的な曲ばかりで、どこを切り取ってもお楽しみが詰まっている。出し惜しみや、もったいぶりは彼らの辞書にはないし、会場の空気を受けて柔軟に選曲を変えたりするなど、最強のライブ・バンドとして究極的な完成形を聴かせるのが、いまのレッチリだ。

2回目となるサマソニ、どんな形で帰還を報せるのか。特別な思いを寄せる日本だけに、もしかしたら新曲!? ともかく凄いステージになることだけは間違いない。(大鷹俊一)


RADWIMPS


大阪初日、幕張2日目のロックな最大規模ステージに立つRADWIMPSは、直前まで繰り広げられる最新全国ツアーの経験値のみならず、あの『君の名は。』の新海誠監督による新作映画『天気の子』旋風を引き連れたステージとなるはずだ。RADWIMPSが手がけたサントラでは、女優/歌手の三浦透子をフィーチャーしており、最新のトライアルが育んだジャパニメーション・アンセムにも期待がかかる。まずは「100%の晴れ女」の加護があらんことを。(小池宏和)


BABYMETAL


今や日本最強の海外フェス覇者であるBABYMETALの快進撃の礎には、12年サイドショウから17年マリン&オーシャンまで築き上げられたサマソニとの共闘関係があった。そして、SU-METAL&MOAMETALの新体制以降も世界を主戦場としてメタル×ポップの奇跡をアップデートし続けるBABYMETALの「グラストンベリー凱旋アクト」を、僕らはマウンテン・ステージで堪能することができる。世界規模で見ても贅沢すぎる音楽体験だろう。(高橋智樹)



SUMMER SONIC 8.18

THE CHAINSMOKERS


サマソニは3年ぶり、来日公演は昨年のジャパン・ツアー以来となるザ・チェインスモーカーズ。前回サマソニ出演の後、2作のフル・アルバムをはじめとする怒涛のリリース・ラッシュとライブ・スケジュールをこなし、もはや賛否両論を引き摺って走り続けることが義務であるかのような熱狂を生み出してきた。今回のサマソニでは、大阪2日目、幕張3日目の最大規模ステージで堂々ヘッドライナーを務め上げることになる。ありとあらゆるレスポンスをノー・ガードで引き受け、のみ込み、怪物的な現象にまで引き上げること自体が、チェインスモーカーズの象徴する時代性と言えるだろう。

2018年内に連続リリースしてきたシングル群を含むアルバム『シック・ボーイ』(日本盤CDは、大量のリミックスも収めたスペシャル・エディションとして7月10日に届けられる)を発表した後も、チェインスモーカーズはファイヴ・セカンズ・オブ・サマーをフィーチャーした“フー・ドゥー・ユー・ラヴ”をはじめとして次々に新曲を公開し続けている。今現在、チャートのアクションといった、目に見える成功からは自由になっている彼ら。けれど、ファースト・アルバム以前から、ポストEDM時代の高性能ポップ・ソングを生み出し続けていることに変わりはない。むしろ、当初はクレバーな戦略家肌に見えていた彼らの活動も、実は不器用なストイックさに裏付けられていたのではないか、と気づかされるぐらいだ。『シック・ボーイ』の、狂騒に揉まれたパラノイアックなシーズンを早くも潜り抜けて、どこか「枯れ」の美学に風格を纏わせるような新曲群を放っている。ビービー・レクサを迎えた“コール・ユー・マイン”も、切々としたチェンスモ節に仕上げられていて見事だった。

昨年のジャパン・ツアーを目の当たりにした人はご存知だと思うが、今のチェインスモーカーズのライブはいい。ライブ演奏とDJパフォーマンスをスイッチさせる、正しくポストEDMと呼ぶべきスタイルを完成させている。そのライブをがっちりと支えるのが、サポート・ドラマー=マット・マグワイアの存在だ。エレクトロ・サウンドをロックな手応えに増幅させるテクニックの持ち主で、ダンスの興奮からエモーショナルな歌モノまで、彼のプレイが貢献するところは大きい。時代が生んだ怪物を、目撃してほしい。(小池宏和)


ZEDD


ゼッドは、エレクトロニック・ミュージックに傾倒する前はずっとロック・バンドでドラムを叩いていた。今でも楽曲はピアノで作るという彼の音楽には、そうした豊富な音楽経験と知識の裏付けがあり、それが彼の音楽を単なるダンス音楽の域を超えた、豊かで奥行きのあるものにしている。10回以上も来日し日本への馴染みも深い。もちろんパフォーマンスとして間違いなく外さないという信頼感は絶対だ。おまけにハンサムなナイスガイという完璧さ!(小野島大)


DISCLOSURE (DJ SET)


今年に入って3枚目のアルバム制作に取り組んでいたディスクロージャーも、現在は精力的に各地でライブを繰り広げている。今回のサマソニではDJセットによる出演ということで、オーガニックなライブ演奏に定評のある彼らとしては意外だが、昨夏に連続リリースしたシングル群はいずれもノーザン・ソウルやアシッド・ハウスといったフェティッシュな手応えを感じさせていたので、拘りのDJプレイとなりそうだ。新作曲の披露にも期待したい。(小池宏和)



現在発売中の『ロッキング・オン』8月号では「サマーソニック2019」の注目アクトをたっぷりご紹介! こちらもあわせて、夏フェスに備えてほしい。

提供:クリエイティブマンプロダクション
企画・制作:rockin'on 編集部