Nothing's Carved In Stone、投票曲&レア曲連打の「円環」ライヴレポ! アグレッシヴにうごめくアンサンブルの最新型炸裂!

all pics by RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)

2015年11月6日、Nothing's Carved In Stoneによるライヴアルバム再現ライヴ「円環 -ENCORE-」が豊洲PITにて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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エレクトロもダンスミュージックも飲み込んだ未曾有のロックサウンドが描く壮大な景色に酔いしれた。Nothing's Carved In Stoneはどこにも属さず、比較対象がいない、オンリーワンの道を驀進し続ける稀有なバンドだなと、改めて痛感した。無限の可能性を突き詰めていく、気骨漲る音色は本当に唯一無二だと思う。 バンドは今年結成7年目を迎え、これまで蒔いてきた種を収穫する時期に入ったのかもしれない。それは再び新しい種を蒔くための準備でもあるわけで、この日のライヴは観客と共にバンドの歩みを振り返る特別なショーとなった。

ファン投票による上位17曲を収録した初のライヴアルバムのレコ発的な位置付けとなった「円環-ENCORE-」公演。17曲+シングルのカップリング曲を演奏することが事前に告知されていたように、最新7thアルバム『MAZE』の曲の披露は一切なしという潔さは、今まで応援してくれたファンに対する精一杯の愛情表現と言い換えてもいい。 本編は6年前に発表したデビュー作『PARALLEL LIVES』収録の"Isolation"で幕を開け、ド頭から分厚いバンドサウンドで豊洲PITをすっぽり覆い尽くす。続いて重厚なリフで始まる"ツバメクリムゾン"に入ると、青と赤の照明が曲を盛り立てながら、村松拓(Vo・G)の力強いヴォーカルが一直線に響き渡ってくる。体の芯から熱くなる楽曲だ。そして"Crystal Beat"では鮮やかなカッティングを刻む生形真一(G)のギター、日向秀和(B)の歌うようなベースライン、そして大喜多崇規(Dr)の生き物のごとくうごめくドラミングが、緑のレーザー光線と相まって観客を早くも興奮状態に落とし入れていく。

「踊ろうぜー!」と村松が高らかに声を上げると、"Brotherhood"へ突入する。曲中にツインギターのハモり、打楽器のような音色を叩き出すベース、ドラムのソロパートなどメンバーそれぞれの見せ場も投入しながら、哀愁と勇壮のサウンドを織り成す開放的な演奏で会場をさらに沸騰させる。 「今日はみんなで作るライヴだと思ってる。存分に楽しんでください!」「Nothing's Carved In Stoneという長い名前だけど、何も彫られていない石という意味だから、今日みんなで刻み付けてください!」と村松は語りかけ、中盤以降もスリリングな演奏を放ち続ける。深奥なスケール感の冬景色が脳裏に浮かぶような"BLUE SHADOW"、生形のアコギが冴え渡る独特の雰囲気を醸し出すスローナンバー"It means"の流れには聴き惚れてしまった。

「今日はみんなの気持ちに応えたい。笑顔にしたい、付いてこいよ!」「ここは埋め立て地だから、みんなが飛んだら、揺れるんじゃねえか。飛べー!」と再び村松が威勢よく煽り、パーティー感溢れる"Idols"をプレイ。観客が一斉に手を上げてジャンプする光景が広がると、終盤に向けてバンドもさらにエンジン全開で突っ走る。"November 15th"では美しい旋律と強靭なビートで観客を熱く奮い立たせ、イントロからハンドクラップが起きた"きらめきの花"では明るさが際立つ至福のメロディを豪快に解き放つ。

"Shimmer Song"で締め括られた本編。アンコールに応え再びステージに登場すると、"Chain reaction"、"Inside Out"と立て続けに熱演。その後、メンバーそれぞれが観客に感謝の言葉を口にしていく。この場面では日向がほかの3人をイジリ倒し、ストイックな本編とは真逆の緩いムードで観客を和ませた。そして、「またおもしろいライヴをしようと思ってます」という村松の言葉に続き、来年5月15日に日比谷野外音楽堂にてワンマンライヴを行うことを発表! 会場が歓喜の声に包まれる中、最終曲"Around the Clock"をプレイ。既にライヴ開始から2時間半を迎えるタイミングにもかかわらず、フロアは微塵も疲れを感じさせない最高潮の盛り上がりを記録する。 バンドとファンが育み続けてきた愛がつくり出す温かいムードが終始流れていた今回の公演。何も彫られてない石に、たしかな熱狂の記憶を刻み付けた夜となった。(荒金良介)

●セットリスト

01. Isolation
02. ツバメクリムゾン
03. Crystal Beat
04. The Swim
05. Brotherhood
06. Sands of Time
07. Lighthouse
08. Rendaman
09. Bone Age
10. GOD HAND GAME
11. 村雨の中で
12. Red Light
13. BLUE SHADOW
14. It means
15. Diachronic
16. Sunday Morning Escape
17. Raining Ash
18. Idols
19. Spirit Inspiration
20. Out of Control
21. November 15th
22. きらめきの花
23. Shimmer Song
(encore)
24. Chain reaction
25. Inside Out
26. Around the Clock

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※記事初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫び致します。