この日の出演者が勢揃いした舞台を見回しながら、イベントの主催者＝のん自らそんなふうにあっけらかんと語って、会場が笑いに包まれていく――というアンコールの場面が、他のどのフェスやイベントとも異なる「のん、KAIWA フェス Vol.1 ~音楽があれば会話が出来る!~」ならではのマジカルな空気感を何より象徴していたと思う。
のんいわく「今日でライブ4回目」という新バンド「のんシガレッツ」が、銀杏BOYZ／サンボマスター／堀込泰行という歴戦の精鋭をゲストに迎えていきなり主催イベントを開催、という大胆な試みは確かに、音楽の世界ではビギナーであるのんにとって「異業種への参入」だからこそ実現し得たことではある。
しかし、いやだからこそ、未発表曲も立て続けに披露していたこの日の彼女の佇まいは、「音楽は素晴らしい」、「バンドはカッコいい」という無垢で天真爛漫でまっすぐなエモーションをくっきりと浮かび上がらせるものだった。
序盤からリッケンバッカー叩き壊す激演を繰り広げて観客を震撼させた峯田。恵比寿ガーデンホール一面の「ロックンロール！」コールを巻き起こしたサンボマスターの勇姿。あのCMソングでのんと極上のハモりを聴かせた堀込の美声……形は違えど、ゲスト陣がそれぞれの方法論で魂の沸点を飛び越えていたことが十分に窺えた「のん、KAIWA フェス Vol.1」。その模様は改めて詳しくレポートします。（高橋智樹）
