「Consequence Of Sound」によると、先日の「The New York Times」の記事では、およそ50万曲分のマスターテープがこの火災により焼失したと見積もられていたという。犠牲となったとされているテープの中には、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』のオリジナル・マスターはじめ、ほぼすべてのバディ・ホリーのマスター、インパルス!レコード発のジョン・コルトレーンのほぼすべてのリリース。エタ・ジェイムズの“At Last”のオリジナル・マスターや、R.E.M.、ザ・ルーツ、スティーリー・ダンの作品も含まれていたという。多くのアーティストは、「The New York Times」の記事で初めて火災による損害を知ったと話しているようだ。
そしてこの度、一部のアーティストがUMGに対し法的手段に訴えたことが分かった。ホール、サウンドガーデン、スティーヴ・アール、さらには2パック、トム・ペティの遺産管理団体らが原告となり、今週ロサンゼルスの連邦地方裁判所に訴えを起こしたという。本件は集団訴訟の形をとり、1億ドル(約107億円)を超える損害賠償を求めるということだ。
エミネムもマスターテープ焼失の被害に遭ったとみられているが、彼の代理人が「Detroit Free Press」に語ったところによると、マスターテープは2008年6月の火災のほんの数ヶ月前にデジタル化されたばかりだったという。
エミネムの代理人は、火災当時どのマスターテープが保管庫にしまわれていたのか断定できていないが、Dennis Dennehyの話では「全部ではないとしてもほとんどのマスターは火災前にデジタル化されていたと、かなりの自信を持って言える」とコメントしているそうだ。
その他、ザ・ルーツのクエストラヴやニルヴァーナのクリス・ノヴォセリックは、それぞれのグループのマスターテープが火災で焼失したことを確信しているとSNSにコメント。さらに、スティーリー・ダンのマネージャーは、バンドは「かなり前からテープがなくなっていることに気づいていた」と語っているという。