「The New York Times」の記事を報じた「Consequence Of Sound」によると、火災で被害に遭ったのは撮影セットやテーマパークのアトラクションだけでなく、ユニバーサル・ミュージック・グループ(以下UMG)の保管庫も多大なる損害を受けていたという。
報道によると、ニルヴァーナの他、エルトン・ジョン、B.B.キング、スヌープ・ドッグ、エリック・クラプトン、R.E.M.、エアロスミス、トム・ペティ、ベック、シェリル・クロウ、ナイン・インチ・ネイルズ、ホールなどが被害に遭ったという。
なお、およそ50万曲にも及ぶ音源の中でも、ビリー・ホリデイのマスター・テープはほぼ全滅、さらにジョン・コルトレーンの作品もインパルス!レコード所属時代の音源がほとんど焼失してしまったと伝えられているそうだ。
火事があった当時、UMGの代表者とされる人物の声明では「保管庫の音源のほとんどは、今年初めに別の施設へ移されました。音源はデジタルに変換されているため、今後長年に渡り存在し続けるでしょう」と発表されていたという。
だが、「The New York Times」のインタビューに答えたシニア・ディレクターのRandy Aronsonは、「まるで世紀末を描いた映画のようで、地球が破壊されたように感じた」と火災の発生した当時を振り返っていたという。
「The New York Times」はこの火事を「音楽業界史上最大の災害」だと表現し、失われたマスターテープと芸術性の喪失の合計額は1億5000万ドル(約162億円)に上ると報じている。
さらに、「Pitchfork」によると、ホールの担当者は、被害に遭ったことを「今朝まで知らなかった」と述べているほか、R.E.M.はSNSに「火災の記事について多くの人から問い合わせを受けている」とし、今後もこの件についてバンドで調査していくという。
「Variety」によると、この報道に対し、UMGは声明を発表。「The New York Times」の記事は「多くの点が不正確で誤解を招く」ものであり、「火災の損害範囲については基本的な誤解と矛盾がある」としている。