トラウマティックな非常事態に遭遇した場合、当事者ができることは直面している状況をネガティブに捉えて鬱になるか? それとも状況を逆転させるために決死の覚悟でポジティブな方向に自分をもっていくか?のどっちかだと思う。で、俺はあえて後者を選ぶことにしたわけ
ザ・プロディジーのマキシムのソロ最新作『ラヴ・モア』が遂に12月4日に日本先行でリリースされた。皆さんもご存知のように、2019年3月にキース・フリントが急死して以来、残されたバンドのメンバーふたりはひたすら公の場に出ることを避けていた。特に長年キースと共にフロントマンを務め、バンドに加入する以前は同じフラットで同居するほど仲が良かったマキシムのショックは相当大きかったようで、3月下旬にキースの故郷エセックスで行われた葬儀に出席して以来、公の場に出るどころか、各SNSの更新すらぴったり止まっていた。多分盟友の死については未だに傷が生々しくて誰とも話したくない気分なのだろう……と筆者も察していた。だからこそ、そんなマキシムの新作がこんなに早く出ることに驚いたわけだが、2019年8月の「バンドの新曲を書くために再びスタジオ入りした」というFacebookの投稿に続き、つい最近は「ザ・リバティーンズの新作でコラボしている!」との意外な報道もあったリアム・ハウレットの動向も含め、“残されたふたり”の今後は未だに未確定要素ばかりのようだ。
今回のマキシムの新作のアグレッシブなまでの高揚ヴァイブについても未だに立ち直れていない自身を鼓舞するかのような痛みを感じとっていただけに、まだ公の場に出て話すのは早すぎるのでは? 本誌の取材もドタキャンになるのでは?……と内心覚悟しつつ現地へ向かった。しかしマキシムは当日時間きっかりに待ち合わせ場所に登場! あの“不慮の悲劇”からどうやって帰還する勇気を奮い起こしたのか? 今のマキシムの心境とザ・プロディジーの未来について訊いた。(児島由紀子)
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