解散寸前まで追い込まれた80年代を経て、破格の「スティール・ホイールズ・ツアー」を成功させたザ・ローリング・ストーンズ。超ご機嫌なキース・リチャ―ズの無頼トークが炸裂!

『rockin'on』2020年11月号より

「最近の連中が気にしているのはビートを生み出すモノの音なんだ。新しいおもちゃを手にしてるだけだ。誰もこのおもちゃ売り場から出られないでいる。だけど、リズムっていうのは、人にとって自分の心臓の鼓動くらい大事なもんだから」(キース・リチャーズ)


このインタビューは1990年夏、英Time Out誌に掲載されたものだ。『スティール・ホイールズ』のツアーの欧州レグ「アーバン・ジャングル・ツアー」でマドリードに滞在中だから、取材は6月半ばということになる。

アルバム・リリースから約10ヶ月、東京ドーム10発から3ヶ月を経て、7年ぶりとなったワールド・ツアーも円熟を迎えた頃だろう。記者は、キースの表情や仕草、そしてストーンズのメカニズムをつぶさに捉え、30年後の今日へと続くバンドの普遍性を紐解いている。

解散危機を乗り越え、ロックの殿堂入りを果たしたストーンズ。貪欲に時代と向き合い続けるミックと同様に、己を満たしてくれる音楽に対しひたすらピュアな瞳で向き合い続ける少年のようなキースも、お互いの存在がなければ糸の切れた凧のようにどこかに飛んでいってしまいそうだ。

ビル・ワイマンにとっては最後のツアーとなってしまったが、嫌になるほど互いを必要としているスリリングな絆=ザ・ローリング・ストーンズは、この頃批評の文脈の中で成立したと言っていいだろう。

当時の勇姿を、ぜひ最新映像作品『スティール・ホイールズ・ライヴ』で確認してほしい。(小池宏和)



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『rockin'on』2020年11月号