ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』リリース30周年を記念して現在、『ザ・ウォール』ツアーを敢行中のロジャー・ウォーターズだが、今回のライブの一部が反ユダヤ的な表現を含んでいるという批判に反論した。
クレームをつけているのは反ユダヤ的な言論や表現を告発することで有名なアメリカの名誉毀損防止同盟という団体で、ステージで使われているイメージがユダヤ人や金銭についての通俗的な偏見にもとづいていると指摘している。
特に指摘されているのは“グッバイ・ブルー・スカイ”のパフォーマンスで、この演奏の時に映し出されるアニメーションでは、イスラエル国旗にも使われているダビデの星の形をした爆弾やドル・マークの爆弾が爆撃機から落下され、ここの描写が問題だという。ただ、このアニメーションではほかにもいろんな宗教や企業のサインやロゴの形の爆弾も描かれている。
ロジャーはこうしたクレームをすべて否定していて、名誉毀損防止同盟代表のエイブラハム・フォックスマンに対して「決めつけによる批判をして、それを公にする前に」まずは実際のライブを観てみるべきだと指摘している。
「フォックスマン氏の主張とはうらはらに、問題のビデオで使われている象徴やシンボルの登場の順番や並びには特に意味はありません」とロジャーは自身のオフィシャルHPで説明している。
「この曲でぼくが言いたいのは、宗教や政治、経済のイデオロギーの対立によってぼくたちがさらされる敵意の爆撃状態がぼくたちひとりひとりの間での対立を生んでいくだけだということで、その結果失われていく生命をぼくは嘆いているのです」
さらにロジャーは「もし、『ザ・ウォール』に政治的メッセージがあるとするのなら」とつけ加えている。「それはぼくたちの現状に光を照らし、平和と相互理解への新しい道を見出そうとすることで、特にそれは現在の中東問題に言えることなのです」。
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