ニック・ケイヴがキング・クリムゾンのロバート・フリップとのコラボを語る

2010年作 『グラインダーマン2』

自ら率いるバッド・シーズの中核メンバーで構成されたグラインダーマンを率いて精力的にツアー中のニック・ケイヴだが、今年リリースしたセカンド『グラインダーマン2』収録の“ヒーザン・チャイルド”を作り直すにあたって、あのロバート・フリップとのコラボレーションを試みたとか。

B面用に制作されたトラックで新しく“Super Human Child”と命名されたこのトラックについてニックはこうLAウィークリー誌に語っている。「ロバート・フリップのことは昔から大好きだったんだけど、グラインダーマンはこういうことを容易にやらせてもらえるユニットだとも思うんだよね。でも、バッド・シーズは昔からそういうものじゃないし、だからやっぱり全然違うバンドだということなんだよ。グラインダーマンは基本的になんでもありで、やりたいと思ったものはなんでもやるし、それがバンドの目的でもあるんだ。これまでの遺産や歴史も関係ないし、そこに俺がロバート・フリップが大好きだということもあったわけだ」。

「まずはロバートの居場所を割り出して、イギリス中部にあるスタジオへバンドとロバートとで出かけてみたんだよ。ロバートはすごく自分のアプローチをスタイリッシュに考えているから、たとえば、20年前のロバートの演奏をやってほしいとか、そういう注文も全然失礼には当たらないんだよね。実際、20年前の自分の演奏スタイルと現在のスタイルとではきっちり違っていて、自分にもその違いが具体的にわかってる人なんだよね」

「そこでさらに俺はこう注文したんだ。『そして曲の最後にはぶっ飛ぶようなギター・ソロがほしいんです』ってね。そうしたら、ロバートはそれまでずっとアンプに繋げていた機材やエフェクターを全部取り払って、自分のギターをそのままアンプにぶすっと直接繋げて、そのままやり始めたんだよ。本当にすごくて、もう素晴らしかったよ」

さらにロバートと人となりについてはこう説明している。「スタジオではかなり変人なんだよね。すごく謙虚な態度で人に接してきて、しかも、自分のことを三人称にして話すんだよ。たとえば、『ギタリストは先のパフォーマンスの方がその前のパフォーマンスよりもよかったと感じているようです』とか、そんな調子なんだ。ちょっと変だったけど、すごい謙虚な感じでもあって、それは音楽演奏のためには全身全霊を捧げますっていう感じなんだ。なんでもやりますっていう感じで、音楽では大人物だということを考えると本当にすごいことだなあと思ったよ」。

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