結論から言おう。初日のトリを務めたこの3人組が見せたのは、破格のパフォーマンスだった。
まず放たれたのは“雨上がり”。だが以前のそれとは明らかに違う。サウンドが圧倒的に太く強くなった。暴力的な激情に溢れた音が猛り狂っている。藤巻の衝動を真っ直ぐにぶっ放す太い歌声、前田の一心不乱に踊り狂うベース、神宮司の天井知らずに鼓動を上げさせるドラム――それらが調和するのではなく、ガツガツぶつかり合ってダイナミックなグルーヴを生み出している。圧倒的な迫力だ。開演前は余裕のあったフロアは、レミオが生んだ磁場に引きずり込まれるようにオーディエンスがなだれ込み、一瞬で埋め尽くされた。一斉に掲げられる拳。体の芯から熱いものが突き上がるのを感じる。
“フェスタ”まで文字通り息付く間もなく走りきり、MC。そして今度は怒涛の新曲ラッシュ。とにかくグルーヴの猛り具合とそこで爆発する熱量が破格だ。1 年前にもこの場で演奏した彼らだが、その時とは比べ物にならない。今年の初め「自分達は何を鳴らせばいいのか」とまで追い込まれたというバンドが乗り越えた壁は、予想以上に高かったことがわかる。
美しい理想郷を歌い上げるだけのポップ・ソングなんて、何の意味もない。時には躊躇するリスナーも、そして自分自身も、胸ぐら掴んで目指す世界へと連れて行く強引な暴力性が必要なのだ。レミオはそれに気づいた。もはや彼らは秀逸なポップ・ソングを歌うだけのバンドじゃない。獰猛に突進するポップ・モンスターなのだ。それを見せ付けた、圧巻のステージだった。 (有泉智子)
1 雨上がり
2 五月雨
3 すきま風
4 フェスタ
5 深呼吸
6 モラトリアム
7 春景色
8 南風
9 アカシア
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