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遂にカウントダウン・ジャパン03‐04、このアース1ステージにも3日間通じてのアンカーが登場。テンションもマナーも最後まで守られた中で、この重要な役割を担ってくれるバンド――レミオロメンを迎えることができた。実にたくさんの人達が、彼らのライヴを見届けて朝を迎えるべく、ここに残ってくれていた。決してみんな疲れていないわけではないと思うのだが、会場は独特の温かいオーラに包まれていた。彼らにとっては、これが今までで最も大きな舞台である。この日の彼らは覚悟が決まっていた。
彼らの名前がスクリーンに映し出され、大きな歓声が上がる中、明かりが落ちると3人は意外な程に静かにステージ上の立ち位置に立った。そして鳴らされたのは――“追いかけっこ”。アルバム『朝顔』のラストに入っている、トム・ヨークが日本人だったらこんなバラッドを歌ったんじゃないかと思えるくらいの深遠なる名曲だ。これだけ大きな舞台で、いきなりアッパーな曲で始めずに神秘の海底から浮上するように現れるのも、レミオロメンの大物の証しである。そして“フェスタ”“まめ電球”と一気にギヤを上げていく。特に“まめ電球”は、あのスラップ・ベースが8の字を描くような不思議なファンクネスが巨大な空間をビリビリ震わせる。デビュー・アルバムを出したばかりだというのに、なんてタフなサウンドをたった3人で紡いでしまうんだろう、こいつらは。そして「28時で出演のオファーが来た時は『それって一体、何時なんだ?』と考えてしまいましたよ」と藤巻のごもっともなMC。それでも快諾してくれて本当にありがとう。そして“電話”“雨上がり”の必殺チューン連打で一気に僕らの心と体をもう一度、ハイタイムへと誘う。繰り返すが“追いかけっこ”で浮上して、ここまでの高みに飛翔できてしまう、このバンドは実に大きな「音力」を持っているし、強かなまでに高いところを見据えながらロックと真正面から対峙している実に信頼できるバンドだとわかる。そして、何だかあっという間に感じてしまったけれど、ラスト1曲へ――まだリリースされていないが2004年のレミオロメンの快進撃を予感させるような新曲“南風”だ。前に何度かライヴで観ているのだが、まるで銀河鉄道がエンジンを震わせながら快走するようなグルーヴと、光の行き先をどこまでも追いかけていくような伸びやかなメロディを持つ素晴らしい曲。この場所で初めて聴いた人がほとんどだったと思うのだが、この音楽が持つセレブレイトなエネルギーの前ではそんなことは関係なかった。むしろ、この時間まで素晴らしい音楽に触れ続けたみんなの開ききった感覚に“南風”が一気に浸透していった風景に非常に胸の空くような思いがした。
そして熱烈なアンコールに応えて演奏されたの、は3月9日にリリースされる、これまた新曲“3月9日”。これは新たなるレミオロメンの必殺スタンダードとなること必至の名バラード。この曲は、僕たちの普通の日々、生活の裏側にヒタヒタとに貼り付く霊性を鋭く言い当ててしまうこの曲は、この場においては、フェスティバルの終わった後に、僕たちをただ現実の世界に送り帰すのではなくて、実は僕たちの生活はこんな神秘に裏打ちされながら営まれているのだという証を、まるでシールを貼るような何気なさで舞い降りさせて、僕達を現実に送り出してくれる曲だった。この瞬間、この場所にいたことが僕たちの中に残る素晴らしいライヴでフェスを締めくくってくれたレミオロメン――彼らにトリを担ってもらって本当に良かったと思った。そしてみんなもそう感じてくれたのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。(古河晋)
「ハスキンが観たくて、習志野から3日目だけ来ました。
でもずーっと楽しんでます!」
“雨上がり”に大熱狂!!