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身体の奥底から突き上げたカウントダウンの熱狂が、やがて心地よい疲れに変わってきた。3日間の祝祭の終わりでもあり、同時に2004年の幕開けでもあるという、任務重大なギャラクシー2のトリ。しかし曽我部恵一は完璧にその大役を果たしてくれた。
拍手に迎えられて登場した曽我部が最初にプレイしたのは“FIRE ENGINE”。いきなり熱い! ギター3本のバンド・セットが叩き出すコシの強いブルースで一気に観客の体温を上げる。ツアーを経て一体となったバンドは、予想以上に分厚いパワーを放っている。曽我部もメンバーもみんな飛び跳ねている。と思ったら、そのままアートスクールの木下理樹がゲスト登場! 「ロックンロール=何でもあり」という曽我部の信念をそのまま形にしたような懐の広いセッション。最高だ。そして“She’s a Rider”、“White Tipi”、“瞬間と永遠”。うってかわってロマンチックなメロディ、そして甘く透明な曽我部の声が空気に染み渡り、ギャラクシー2全体に気持ちいい浮力を働かせていく。さらに、ソロ・アーティストとしての曽我部の原点、“ギター”だ。「戦争にはちょっと反対さ ギターを弾いている」という歌詞を語る、世界の現実に向き合ったメッセージ・ソング。「この曲を作ったのは2001年のことなんだけど、今年もあんまり世界は変わってないけど、そして来年も変わってないんだろうけど、素敵なことも一杯あるからね」。そんな彼のスタンスは何一つ変わっていない。続いて披露された新曲の“スワン”は、新たなアンセムの登場を予感させるドラマティックなロック・ナンバーだ。この曲が本当に素晴らしい。だんだんと胸の中で切なさが高まってくる。「何も言わないで 言葉にしないで 揺られ揺られて 朝がくるまで」なんて、この場所の雰囲気にぴったりした歌詞をあの声で歌うんだから、たまらない。思わず見回すと、涙ぐんで眼を赤くしてる人がほとんどだった。「次の曲はここのみんなのために歌います。というか、世界中の全ての人のために歌います」――と、ラスト“おとなになんかならないで”。静かに、けれど万感の思いを込めて放たれた歌声が、会場を一つに包み込んでいた。感無量だった。アンコールの新曲で全ての照明が観客を照らした後も、最後に「今年もよろしく! ありがとう!」という言葉を残して曽我部が去った後も、淡い感動の余韻がギャラクシー2全体を包んでいた。明日からは2004年の日常が始まる、けれどロックは決して鳴り終わらない――そんな夢が信じられる瞬間が、確実に生まれていた。曽我部さん、本当に、ありがとう。そしてみんな、おつかれさまでした!(柴那典)
そして、カウントダウン・ジャパン03/04、ギャラクシー2ステージの全てのアクトが終了しました。うっすらと夜がしらじんで、2004年最初の夜明けが訪れようとしています。一晩寝ずに盛り上がっていた人も多いでしょうから、帰るときにも体調管理には充分に気をつけてくださいね。ご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました! そして、このクイック・レポートをご覧くださった方にも、本当にありがとう!
それでは、今年もよい年になりますように。そして、また夏に、ひたちなかで会いましょう!!(クイック・レポート ギャラクシー2ステージ班一同)