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満員のCOSMO STAGEを“Arlequin”の冒頭の轟音で一気に不穏なロックの時空に叩き込むTHE NOVEMBERS! 繊細で今にも壊れそうな心の機微を音の流星に形を変えて闇夜で惑星直列させたような、あるいは日常と狂気を隔てる薄皮にナイフを突き立ててすべてをカオスに叩き込むような、危険で美しいロック・ミュージック。時に破壊的なほど獰猛に、時に僕らの心の形をたどるように優しく響く小林の歌声。かと思うと、「さっきおみくじを引いてきたんですけど……小吉でした。ぴったりですよね?」とか「今日、木村カエラちゃんを観たかった人いますか? カエラちゃんに会えるのを楽しみにしてたんですけど。いや、楽屋とかじゃなくて、ステージで観たかったんですけど。応援したかったんですけど(笑)」と MCで笑いを誘ってみせる。そんな彼らの姿からは、ロックで「特別なこと」をやってやろうというような気負いや力みは窺えない。この不穏で切迫したロックこそが、THE NOVEMBERSにとっての「自然体」なのだろう。1つ1つの音がすべて決定的瞬間のような30分間。シリアスなギター・ロックの形を勢いよく更新する新鋭4人組、その真価を幕張のオーディエンスに見せつけまくったアクトだった。(高橋智樹)