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彼らにとっての2009年は文字通り「怒涛」の1年だった。4月にファースト・フル『BUFFARO SOUL』をリリースすると、全国ツアーを経て夏にはフジ・ロックとロック・イン・ジャパンに参戦。そのあいだにはギタリストの失踪、そしてそのまま脱退という、バンドの未来を左右しかねない事態も起きていたのだが、バンドはその困難を乗り越え、11月には早くもセカンド・アルバム『PARADOX PARADE』を完成させる。しかし彼らは、そんなことなんでもないとでも言うかのように、当たり前にフリーキーで当たり前にセクシーなロックを鳴らすのだ。サポート・ギタリストの奥村大(wash?)を従え“Forest Walker”でショウの幕を切って落とすと、続く“博士の異常な愛情”と“泥水のメロディー”で早くも最初のピークへ。少し湿り気を帯びた佐々木(Vo/G)の声が「ダンスの時間ですよ」と吠えれば、そう、“Buffaro Dance”だ。「冬が終われば春が来ます。どんだけ自分の足で立ってられるかが大事なこと」「俺はどんなところでもブルースをやろうと決めました」――佐々木は曲の合間にそんなことを言っていたが、間違いなく、いまのa flood of circleは自分の足で立ち、まっすぐに前へと歩いている。そんな実感に胸が熱くなるステージだった。ラスト2曲ではスペシャル・ゲストとしてアルバムにも参加している椿屋四重奏の安高拓郎が登場。“Paradox”“プシケ”で迫力のギター・バトルを見せてくれた。(小川智宏)