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結成10周年イヤーに突入し、ツアーにレコーディングに充実の1年を過ごした彼等。その締め括りとして来年1月3日には、2回目となる武道館ライブも告知されており、まさに物語は頂点に向かって最後の瞬間を迎えようとしている間際だが、そのタイミングで「COUNTDOWN JAPAN 11/12」へ登場。コンディションはもちろん、メンタル面でも「ここ一番」での踏ん張りを特に強く発揮したものになるだろうな、と予想してたら、一人ずつ出てくるオープニングで余裕綽綽のところを見せる。堀くんドラムソロ→史織ちゃん(片足ずつ白黒のレギンス!)べースで絡む→湯浅くんギターで入る→そして小出くん歌い出す、という流れ。ちょっとヒネたことが好きな彼ららしい展開だが、3曲目“yoakemae”でも“ここがみんなの夜明け前”と丁寧な一言を加え、フェスの熱い空気の中にもクールな視線を持った、独自の佇まいを示していく。

それでも、今年締め時期のライブは彼等にとっても感慨深いようで、「本日は『COUNTDOWN JAPAN 11/12』Base Ball Bearの回にお越しいただきありがとうございます。(中略)塞ぎこんでばかりいた今年でしたけど、楽しいことを楽しいと思える2012年にしたいと思います。この4日間はそのリハビリのための4日間ですから」と殊勝なMCも登場。もっとも続く曲“BOYFRIEN℃”のイントロが始まるや「来年もみんなの彼氏でい続けたいわけさ」という憎い一言で、彼らしさも滲ませてはおりましたが。
曲は続いて、ファンキーなギターのリズムが耳に響く“十字架You and I”で場内をダンスグルーヴで満たしていく流れ。ここで「ダンス! 湯浅将平」タイムで場内に脱力した笑いを提供しつつ、続く“スイミングガール”で響かせる硬質なビート感で熱気を一気に煮詰めていく手法は、近年の彼等の得意技。

中盤からは“海になりたい”~“新呼吸”と、最新アルバムで聴かせたインナー・モードの楽曲をしっかりとした歌声で披露する時間。「新しい窓を開けたら僕は変われるかな?」と自身の内面と孤独を見つめる目線が正直すぎて、こちらも胸が痛くなる楽曲だが、フェスという場面とはいえ、この1年の彼等の重大テーマをそのまま表したこの曲をひたむきに演奏する姿にこそ、彼等のロック・バンドとしてのこだわりどころを見るような思いもする。
と、場内がひんやりとシリアス・モードに包まれたところで、いきなり堀くんが「いくぞーっ」と叫ぶや、終盤2曲は“LOVE MATHEMATICS”“CRAZY FOR YOUの季節”という陽性ナンバーで締め括る流れ。打って変わって笑顔で「幕張、騒げ~」と叫ぶ小出くんの笑顔も底抜けなら、ステージ両翼を走り回ってギター・ソロを弾きまくる湯浅くんの運動量も大したもの。45分という持ち時間をここまで山あり谷ありのダイナミズム、しかも濃縮パターンで全うしたケースとも、そう多くはないような気がするが、武道館の話などは一切ほのめかすことなく、最後は小出の一言「愛してるぜ」でしっかりと締めくくるあたり、なお一層の自信を秘めている様子も頼もしかった。(小池清彦)