2日目のGALAXY STAGEのアンカーは、ART-SCHOOLだ。彼らが本フェスのステージで凄まじいパフォーマンスを見せてくれたことは何度もあったけれど、こうして再度“別れの夜”を迎えることになってしまうとは。年内いっぱいで脱退を表明している宇野剛史（B）と鈴木浩之（Dr）。この現行メンバーによる最後のステージ。感傷を捨ててこのライヴを見届けるなんてことは土台無理な話だろう。しかし、オープニングSEに包まれて登場したメンバーは高く両腕をかざしてオーディエンスに向き合う。金髪の木下理樹（Vo&G）が「Oh!!」と力強く発声して歌い出した“水の中のナイフ”のメロディとバンドの轟音は、何か確信を手にしたようにどっしりとした手応えがある。宇野と鈴木のリズム隊のグルーヴが渦を巻く“DIVA”も然り。“BLACK SUNSHINE”から“OUTSIDER”にかけては、何かを振り切るようにぐんぐん加速して焦燥感を強めてゆくが、それでも演奏は鉄壁そのものだ。“サッドマシーン”“ガラスの墓標”、“プール”と演奏を進めたところで、木下「なんか喋る？」、宇野「こんばんはART-SCHOOLです。あの、今日で僕と、ドラムの鈴木浩之が脱退します。最後のライヴ、どうぞ楽しんでいってください」。ぐっと押し黙りながら、GALAXY STAGEには様々な想いが立込める。しかしそれでも、ライヴそのものは徹底して揺るぎない。これがこの4人のART-SCHOOLの完成形なのだ、という手応えで“MISS WORLD”、“あと10秒で”、“ロリータ キルズ ミー”といった名曲群が届けられる。バック・ライトを浴びてシルエットが浮き上がる4人。ヒリヒリとした轟音と歌を確かに伝える4人。「僕たちって嫌われてるバンドなんだって思ってたけど、あ、愛されてるんだって最近気づいて。自分が自分でいるのってストレスあるし大変だけど、うん、全然いい奴じゃないんだけど、そういう思いでいます」。本編ラストの“FADE TO BLACK”を凄まじい気迫とともに叩き付ける前に、木下はそう語っていた。アンコールは、機材にトラブルを抱えながら（木下は「僕ららしい」と言っていた）、本編よりもパンキッシュに弾ける“車輪の下”、“UNDER MY SKIN”を披露。改めてメンバーを紹介すると、木下は「今日はこの2人を送り出して、僕らはゼロからやり直すので、また来年、ここで会いましょう！」と告げ、“斜陽”を歌う。素晴らしい音楽はいつだって一期一会であり、刹那の出来事だ。だからこそ、いつまでも網膜と鼓膜に残しておきたい、と思うのかも知れない。そんな素晴らしいライヴだった。（小池宏和）