メニュー
昨年のCOUNTDOWN JAPANで「来年、ここで会おうぜ」と宣言し、約束通りこの場所に帰ってきてくれたART-SCHOOL。木下の手にあるフライングVから繰り出されるギターの音は一音目から研ぎ澄まされていた。どこか鈍く淀んだ世界を切り裂くような音。そう、ART-SCHOOLが鳴らすのは、この世界と誠実に向き合おうとするほど入口を開けて待っている袋小路に風穴をブチ開ける、そんな悲鳴のようなロックンロールだ。そして、それはフェスのような祝祭空間でもロックンロールという言語を通すことで共有体験となる。この日のライヴもまさにそうしたものだった。言葉数の少ないMC、静まり返る曲間。けれど、それはすべて、オーディエンスもバンドも共に、あのギターの音と木下の声が生み出す爆発を待ち受けているからなのだ。「そんなに死にそうなキャラですかね」とMCで木下理樹は冗談を言っていたが、それは彼らの音楽がそうした深遠までコネクトする音楽だからだ。最後の、打ち合わせゼロのスパルタローカルズのVo安部の飛び入りまで、一瞬も目を離せなかった。(古川琢也)