『JAPAN JAM 2013』1日目のラストを飾るのは、2011年に続いて2度目の『JAPAN JAM』出演となるTHE BACK HORN! 「こんばんはTHE BACK HORNです」という山田将司の言葉とともに、いきなり“シリウス”の鋭利なサウンドがスタジオコーストの熱気を切り裂くように強く、激しく響き渡る! 最新アルバム『リヴスコール』という傑作を引っ提げて全国ツアーを回り、今年1月には2度目の日本武道館ワンマンも成功させた彼らの充実した「今」が、そのエネルギッシュなアンサンブルと絶唱からびりびりと伝わってくる。
そのまま轟々と赤黒い衝動渦巻く“サニー”へ流れ込んでスタジオコーストの温度と狂騒感をがっつりと高めたかと思うと、ひときわエモーショナルな“声”でフロアからOiコールと拳を高々と突き上げさせてみせる。山田将司/菅波栄純/岡峰光舟/松田晋二が放つ惑星直列級のパワーに満ちた音と歌……この後にアコースティック・セッションが待っているとは微塵も感じさせない、ワンマン・ライブかと錯覚ような強烈なアクトを展開していく。
「初日の最後のステージということで、呼んでいただいてどうもありがとうございます!」と松田。「どういうふうにセッションを楽しもうかとアイデアを出し合ったんですけど……初アコースティック・セッションをやってみようじゃないかと思いまして。THE BACK HORNといえば、4人で汗垂れ流してナンボ、みたいに思ってらっしゃる方もいると思うんですけど(笑)。初アコースティックで、音楽を楽しんでみたいと思います!」という彼の言葉に導かれて、のあのわからYukko(Vo・Cello)&荒山リク(Key)が登場!
同じ事務所の先輩/後輩の間柄というTHE BACK HORN&のあのわ。「将司がライブ観に行ったりとか、新年会やったりとかしてて。チェロとかも入ってて、ポップでキラキラした世界観を鳴らしてて。これはバックホーンと共演したら、これは面白いことが起きるんじゃないかと」(松田)「意外すぎるセッションだと思うんですけど、先輩と一緒に頑張りたいと思います!」(Yukko)というトークに続いて6人で演奏したのは“冬のミルク”。アコースティックのギター&ベースで奏でられる音像に、Yukkoのコーラス、荒山のエレピの音色&ファンタジックなシンセ使いが、THE BACK HORNの世界にさらなる豊潤な色合いを与えていく。
「あんまし女子と並んでやることないから、緊張しちゃうよな(笑)」とフロアの笑いを誘ったのは菅波。Yukkoがチェロを構え、山田がアコギを抱えて響かせたのは“美しい名前”。生ドラムとドラム・パッドを使い分けながら、曲にくっきりとした陰影を与えていく松田。山田と絶妙なハーモニーを描き出しながら、そのメロディに秘められた儚さと強さを鮮やかに体現していくYukkoの歌……どこまでも美しい演奏から一転、MCになると「セッションしてると、標準語になるよな?」(岡峰)「のあのわとやって、オシャレな感じが入ってくるとさ、標準語になるのわかるよな(笑)」(菅波)と砕けた空気になって、ホストとゲスト・アーティスト、フロアとステージとの垣根を至って自然にかき消していく。荒山がピアノで奏でるジョン・レノン“Imagine”のイントロ・フレーズに続けて響き渡ったのは、名曲バラード“世界中に花束を”。アコースティック・サウンドをさらに艶やかに彩っていく、チェロの流麗な響き。音楽の奇跡そのもののような時間が、そこには確かにあった。
鳴り止まない手拍子に応えて、4人がもう一度舞台に登場! 「『JAPAN JAM』最高! 最後、もうちょっと盛り上がっていきましょう!」(松田)と再びエレクトリック・セットで『リヴスコール』から“シンフォニア”を炸裂させる。この日の正真正銘のラスト・ナンバーは“コバルトブルー”! 全身の細胞すべてを振り絞って音を鳴らし爆発させるような4人の鮮烈な姿が、『JAPAN JAM 2013』1日目の最高の余韻とともに胸に残った。(高橋智樹)
ゲスト・アーティスト:Yukko・荒山リク(のあのわ)
1.シリウス
2.サニー
3.声
w/のあのわ
4.冬のミルク
5.美しい名前
6.世界中に花束を
EC1.シンフォニア
EC2.コバルトブルー