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二度と再現することのできない、しかし幾つもの素晴らしい瞬間が深く胸に刻まれたJAPAN JAM 2013。その2日間を締め括るのは、グループ魂だ! いいのか? 大丈夫なのか? グループ魂で!? 数々の名セッションの思い出が、トラウマにすり替わったりはしないか? 学ランにマスク姿で登場した港カヲル(中学32年生←今回はこう名乗っていた。つまり46歳)、軽快なステップを踏みながら、「女子は縦笛を吹くとき、つまらなそうな顔をしているけど、もっとイヤらしい気持ちで吹けばいいと思う」と、さっそく開き直りも甚だしいストレートな下ネタを突っ込んでくる。JAPAN JAM初出演にして趣旨が分からない、というドサクサに紛れて、5/18に公開となる宮藤官九郎監督・脚本の映画『中学生円山』の宣伝も挟み込んでみせる。


「おっぱい元気!?」「妻が最近拒むので、中学生になることにしました……」といった相変わらず分かりにくいコール&レスポンスを繰り広げたところに、ようやくメンバーが登場。意外にもエモーショナルな手応えがグッと来る配信限定シングル“「卒業」からの卒業”から、投げやりなパンク・スピリットの“モテる努力をしないでモテたい節”と楽曲をプレイしていった。ここで破壊(Vo)は、「さっきの“ファンキー・モンキー・ベイビー”でイヴェント的には終わってるんだから。残ってくれてありがとね。いいなあ、あれがJAMって感じだよなあ……」と正直に零してしまう。一方の暴動(G)は、秀逸で詳細な脚本を用いながら「じぇじぇ!(NHK連ドラ『あまちゃん』参照)」の活用例を説明してくれていた。女子高生コスのカヲルがステージに加わると場内の体感温度があがってしまうぐらい暑苦しいのだが、“High School”から中年パンクスの悲哀を伝える最新シングル“I was PUNK!!”、更にはカヲル&バイト君がハードゲイな警官ダンサーと化す“職務質問”と楽曲を畳み掛け、“ペニスJAPAN”のコールでやり逃げするようにメンバーはステージから姿を消してしまう。と、入れ替わりで姿を見せたのはロック界のレジェンド=遠藤賢司!



グループ魂のしっちゃかめっちゃかなステージだろうがまったく物怖じしないのはさすが。エレクトリックな弾き語りで“ド・素人はスッコンデロォ!”を披露しつつ、ノイジーなギターとドラムスを同時にプレイするという離れ業まで見せてくれる。「……だ、大丈夫だ。怒ってるわけではなさそうだ」と袖から恐る恐る様子を窺うカヲル以下、グループ魂の面々である。エンケンは件の映画『中学生円山』にも出演を果たしているのだが、今後の活動の告知を兼ねて自身の芸術論について熱弁をふるった挙げ句、『あまちゃん』についても「NHK史上最高の傑作」と絶賛。



「エンケンさん、意外とお喋りですね!」と恐れ多くも66歳レジェンドに食らいつく46歳。クライマックスは“IN(入っちゃった)”、そしてバンド一体でリフを繰り返しながらメンバー1人1人が名乗りを上げる“不滅の男”でフィニッシュである。アンコールに至っては「“不滅の男”サイコぉ~」とすり寄ってくるカヲルからエンケンが逃げ出そうとしたりしつつ、“君にジュースを買ってあげる”でも共演を果たしてしまう。シュールかつ痛快すぎる一幕だ。ギターを肩に担いで大股で練り歩き、オーディエンスに挨拶して回ったエンケンが帰ろうとしたのはボケなのか素で間違えたのか分からないが、賑々しい「ワッショイ!」コールが繰り返し放たれるエンケン曲“東京ワッショイ”で圧巻の幕切れへ。最後、カヲルはビキニ一丁で声を上げていた。まったく、始まるまではどうなることかと思ったけれど、だからこそ、想像も及ばないようなセッションで応えてくれたステージであった。(小池宏和)


グループ魂
ゲスト・アーティスト:遠藤賢司

1. 「卒業」からの卒業
2. モテる努力をしないでモテたい節
3. High School
4. I was PUNK!!
5. 職務質問
6. ペニスJAPAN

7. ド・素人はスッコンデロォ!(遠藤賢司)

w/遠藤賢司
8. IN
9. 不滅の男

10. 君にジュースを買ってあげる
11. 東京ワッショイ

all pics by TEPPEI