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昨年に引き続いての出演となったTHE NOVEMBERS。去年の今頃は和製ロバート・スミスみたいなヘアスタイルだったVo/G小林が金髪になってはいるが、黒を基調とした服装も、この広いフェス会場のなかでここWING TENTだけがすっぽりと闇に包まれてしまったかのような「違和感」も、同じ。やはりこのバンドをフェスで観るというのは、それだけで異質で特殊な体験である。夢幻のように空間を侵食していくギター・ノイズは、フェスの熱気と興奮で火照った脳と体を一瞬でクールダウンし、違う世界へとブッ飛ばしてくれる。そこに切迫感溢れる小林のヴォーカルが入ってくると、なんというか、「こっちが本当なんじゃないか」というような気持ちになってくるのだ。フェスの祝祭感に浸ったところでいきなり真実を突きつけられて言葉を失う感じ。スリリングだ。現時点での最新リリースであるセカンド・ミニ・アルバム『paraphilia』からの“para”で幕を開け、彼らの代表曲といっていいだろう “白痴”で終わった30分間。音の隙間の使い方が上手くなって、ライヴ全体のパフォーマンスが上がった。でも誰にも媚びず、何にも頼らず、あくまで異分子を貫いている。だから最高なのだ。(小川智宏)