’01年のロック・イン・ジャパン以来。3年ぶりにBACK DROP BOMB(以下BDB)参上だ! 去年出たアルバム『NIPSONG』の冒頭を飾るヒップホップ/ダンスホールのディープなSEをバックにメンバーが登場した瞬間、会場全体にとてつもない電撃が突っ走る。みんなこの瞬間を待っていたのだ。そして、演奏が始まる。“BACK DROP BOMB”だ!!! デビュー当時の名曲に観客が一気に沸きあがる。特に前方に集まった暴れんキッズたち。まだ2日目の半ばというだけあって、「まだまだ行ける」と言わんばかり弾けていた。こんな名曲を前にして、その気持ちはよ~くわかる。ただ、くれぐれにもマナーとルールは守り、他人に迷惑をかけないように、な。 フェスパンフに「太陽が似合いませんが……」というコメントを寄せていたBDB。確かに最近のBDBはクラブ・ミュージックの影響がより一層に濃く出ていて、メンバーがそう思うのもわかるが、そんなことは決してない。もう既に「ミクスチャー」とかそんな陳腐な枠でははまりきれないほど四方八方に拡散した、どこまでも自由奔放なBDB流のボディ・ミュージック(いや、これが既に存在するジャンルだってことはわかるんだけど、この際、この言葉を使わせてもらいたい)は、青空の下にどこまでも広がる大地にお似合いだと思う(途中でちと雲ってきちゃったけど……)。 セット中盤、“REMIND ME”。最新作『NIPSONG』の中では個人的ベストのこの曲。いや、生で聴くといっそうその凄さが伝わってくる。っていうか単純に変だよ、この曲。展開を展開させてさらにそれを展開していくっていうか、どうやったらこんな曲ができるのかが不思議でたまんない。というのに妙にポップだし。そんな錯綜とした曲をいとも簡単にこなしていくBDB。最後のオジマとシラカワのヴォーカルの絡みも完璧。まったくもって頼もしいバンドである。 『NIPSONG』の曲を中心に、タイトすぎる変則グルーヴとパーフェクトなステージはそのまま続き、セットは終盤に向かう。最後は“BOUNCE IT”、“BLAZIN’”と、『micromaximum』からの人気チューンを2連発して、BDBはステージを去っていった。 セットを通してMCはシラカワの「今日はどうもありがとうございました」以外はまったくなかった。安直なファン・サービスは基本的に皆無。音楽のみの力で勝負を挑んでいた。しかも、どうしてもついていけないファンがいてもおかしくないほど、凄まじく複雑に展開する曲でだ。そういう意味で、今フェスに登場したもっともラディカルなバンドはBDBなような気がする。だけど、BDBはあくまで自分たちの道を貫いているだけなのだ。そして、だからこそバンドとして最高の進化を遂げているんだとぼくは思う。 冒頭を飾った“BACK DROP BOMB”に話を戻したい。思えば、自分が初めてこのバンドを観たのはもう10年近く前の話。まだファーストEPも出てない頃、渋谷のライヴハウスで行われたメロコア系のイベントでのことだ(その頃からこのバンドは突出していたのだ)。自分はまだティーンだった。そして、その頃の代表曲を、その頃と変わらぬメンバーで演奏しているBDBが、今日、自分の目の前にいた。個人的な話で恐縮だが、もうこの時点でこのライヴに対する自分のモードは決まっていた。それはノスタルジアとかセンチメンタリズムなんかとは関係ない。むしろ逆だ。これまで10年の進化を確認し、このバンドの未来を見届けることだ。10年後にまたこのバンドを観たいと思った。ライヴが終わってその気持ちは確信と変わっていた。(内田亮) 1. BDB |
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BACK DROP BOMB のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ