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甘美すぎて目眩がしてしまうようなバンド・メンバーと共にソウルフルなコーラスで“しましまのバンビ”を歌い出し、「暑いね……大丈夫?」とオーディエンスに声をかけると、青空に突き刺さるようなシャウトが一発。そろそろ日が傾きかけてくる時間帯のLAKE STAGEで、Charaのパフォーマンスがスタートだ。歌詞に引っ掛けて、「ちゃんと観て欲しいの……」と困った一言を添えることも忘れない。言われずとも、視線と意識をまとめて奪ってゆくようなパフォーマンスに釘付けである。

続いては一転、ツイン・ドラムの猛烈なアタック感が支える、というか弾き飛ばすような勢いでプレイされるロック・チューン、6月に発表された移籍後初のシングル曲“オルタナ・ガールフレンド”だ。ぴょんぴょんと飛び跳ねてヴォーカルを届けるCharaは元気そのもの。「ちょっと、なにコレ、(日差しが)正面からなんだけど! あたし、脱げないんだから」と零しつつ、涼しげで優しいレゲエ風ナンバーになった“Junior Sweet”のSakuragarian Dub Mixへと繋ぐ。ありがたい、ありがたい……ん? うわああ! 気持ちよく浸っていたら、容赦無しのリヴァーヴ&ディレイ、思いっきりせり出したベース音と、もの凄いダブの音響に展開。あーびっくりした。でもかっこいい。

「暑いね、ここはMC。なにか質問とかある? おでこのケガ、大丈夫かって? そう、火傷しちゃったのよね。だから日に当たったりしちゃいけないのよ。あたしだって、ゴージャスな髪型にしたいのよ。巻き毛とか」。ソウル・ママ日本代表みたいなヴォーカルを響かせていたと思ったら、お茶目なところもしっかり残してゆく。キャリアを重ねてますます無敵のCharaなのである。名曲“Swallowtail Butterfly~あいのうた~”を届け、「(デビューして)21年経ちました。21年前に生まれた人もいるんじゃないかしら。今日、誕生日の人! あ、いる!」と軽やかにステップを踏みながら唐突に“ハッピーバースデー”を歌い出す。バンドのハーモニーも添えられて、これは最高のプレゼントだ。嬉しいだろうな。そして8月1日にリリースされたばかりのニュー・シングル曲“プラネット”を、ダイナミックに広がって押し寄せるロック・サウンドに乗せて披露する。

「今年はアルバム出すからね、買ってね」と言っているが、デビュー20周年の昨年だってベスト盤1枚やミニアルバムに加えてオリジナル・アルバムもリリースしているのだ、この人は。しばしば「怖じ気づかずに生きたい、と思って作った曲です」と紹介される“才能の杖”もここで披露し、最後はたっぷりと間を取ったグルーヴで“やさしい気持ち”を歌う。オーディエンスの頭上で一様に掌が揺れ、そして手拍子が打ち鳴らされる。この刺さるような日差しのLAKE STAGEを、音楽の魔法の時間に変えてくれたCharaだった。(小池宏和)