3ピース・バンドのステージが続くWING TENT。次なる3人組は「ロックの宇宙船」、avengers in sci-fiだ。足元のエフェクターだけをとっても、宇宙船1機分のコックピットか、もはや小宇宙そのものと言ってもいいほど緻密な機材を使いこなすアベンズだが、その宇宙船を飛ばす燃料、動力はあくまで人力。汗水飛ばして、髪を振り乱しながら、ダンスを繰り広げ、乗せた観客を彼方へとぶっ飛ばしていく。
強力なダンスビートと、重厚なギター&ベースで観客をのしていくような音圧を浴びせる、“Delight Slight Lightspeed”。そのポップなメロディがWING TENTを駆け抜ける中、またたく間にジャンプの嵐が発生。日焼け顔のキッズたちが、頭上で手を叩きながら気持ちよく体を揺らす。木幡太郎(G&Vo&Syn)と稲見喜彦(B&Vo&Syn)のふたりのヴォーカルが交信しあうかのようにユニゾンで歌われるメロディはポップでスペイシー。しかも心地好い抜けがある。これこそアベンズ節の肝なわけだが、最新作『Disc 4 The Seasons』の曲は、さらに叙情性がそこに加わり、グッと胸に迫る繊細さも身につけている。
最後は、そんな突き抜けるポップさのなかに切なさというか叙情性がたっぷりしみ込んだ2曲を披露。まずはトライバルなビートで盛夏の空を彩った“Sonic Fireworks”。夜空の下で聴いたらさらに最高だったかもしれないが、夕暮れ間近のWING TENTでも、彼らが打ち上げた花火は幻想的に彩られていた。そんな花火の後、もっと踊って盛り上がれ、とでも言わんばかりに“Yang2”のトライバル×日本のお囃子的ビートで会場をかきまわしていく。実際に甚平にきつねの面というお囃子4人組も登場し、場内はますます賑やかになっていった。ヒュルルル~シュルルル~と旋回するスペイシーな音響と和のビート。なんともシュールな組み合わせが、観客を異空間へと連れ立っていくステージだった。(吉羽さおり)
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