今年のグラミー賞はとうとうビヨンセをアルバム賞に選ぶのか? グラミー賞の見どころ。各メディアの予想。パフォーマンスする人などまとめ。

今年のグラミー賞はとうとうビヨンセをアルバム賞に選ぶのか?  グラミー賞の見どころ。各メディアの予想。パフォーマンスする人などまとめ。

グラミー賞が現地時間の2月5日に発表される。

今年の見どころと、各メディアの予想、パフォーマンスするアーティストを紹介したい。

1)ビヨンセ
まず、今年の最大の見どころは、アデルとビヨンセが同時にノミネートされていることだ。

忘れもしない、2017年アデルが『25』で、ビヨンセが『レモネード』でノミネートされ、アデルがアルバム賞、レコード賞、楽曲賞の主要部門で全て受賞。計5部門で受賞し、その年最多受賞した。アデルが、アルバム賞を受賞した際に、「ビヨンセが取るべきだった」と言った場面は今思い出しても辛くなる。

だから、今年のグラミー賞のアルバム賞は、果たしてアデルが取るのかビヨンセが取るのか?ということに尽きる。LAタイムズ紙も、「グラミー賞へ。今回やることはひとつだけだ。ビヨンセにアルバム賞をあげること」と記事にしていたくらい。

Teen Vogueまでが、「ビヨンセはアルバム賞なんて必要ない。だけど、それをもらう価値がある。だから、グラミー賞はそれを認知するべきだ」と書いていた。

その他のメディアも、今年ビヨンセがアルバム賞を取ることがなかったらグラミー賞は本当にもう終わりだろうとまで書いていた。

またはNYタイムズ紙はこれまでも、期待しても何度もグラミー賞には裏切られてきているので、「今年こそビヨンセの年!....だよね?!」と半信半疑だ(苦笑)。

アデルの『30』は、2021年に発売された。その年の年間ベストアルバムリストはバラバラだったが、総合するとアデルが1位だった。また売り上げではぶっちぎりで1位だった。

それに対して去年発売されたビヨンセの『ルネッサンス』は、ほぼ全メディアが去年の年間ベストアルバムの1位に選んでいた。売り上げはアデルには追いつかない。そんなわけで簡単にどちらが良いのか比べられない。ただ、より今の時代を象徴したアルバムということになると間違いなくビヨンセの方が評価が高い。

しかし今回の賞は、厳密にどちらのアルバムが良いのかということを超えている。ビヨンセは、グラミー賞自身が何度も書き立てているように、夫のJay-Zと並び計88回で、過去最多ノミネートされているアーティストだ。

それなのに、主要部門は、”Single Ladies”で楽曲賞を一度取ったのみだ。アルバム賞は過去に、

2017年は『レモネード』の時に、アデル『25』が取り、
2015年、『ビヨンセ』の時は、ベックの『モーニング・フェーズ』が取った。これは、誰も予想していなかったので、この時も大論争となった。CNNも「一体どうやったら、ベックがビヨンセに勝てたのか?」と報道していたくらい。
https://www.cnn.com/2015/02/09/entertainment/beck-grammys-feat/index.html#:~:text=But%20some%20people%20think%20you,a%20critical%20and%20commercial%20smash.

2010年は、『I Am..Sasha Fierce』で、テイラー・スウィフトの『Fearless』が受賞。

どの媒体も、「今年こそは」と書き立てる理由が分かると思う。ビヨンセの88回ノミネートで主要部門1回しか受賞してないのに対して、アデルは、25回ノミネートで主要部門をすでに7回受賞している。個人的にはアデルも好きだし、『30』も素晴らしいアルバムだと思うけど、問題なのは、この2人の対決が、どちらのアルバムが素晴らしいのかを超えていること。

この2人のパワフルなアーティストの勝敗が、これまで叩かれてきたグラミー賞の不公平を象徴してしまっていることにある。グラミー賞は、その指摘された不公平を是正するために、よりダイバースな新メンバーを増やしている。その結果、現在、女性は全体の31%。白人以外のメンバーは33%となった。つまりそれでもほぼ70%は白人男性ということなのだが。

なので、これまでのように、結局変わらないままなのだろうか? それが最大の見どころだ。

ちなみにひとつあり得るのは、ビヨンセかアデルか?と大騒ぎされている中で、肩透かしな、例えば、ブランディ・カーライルを選ぶようなことも十分にあると思う。


2)各メディアの予想。

各メディアの予想を可能な限り集めてみた。

―― アルバム賞
ビヨンセ(ピッチフォーク、USA Today、Vulture)
ブランディ・カーライル(LAタイムズ)
ハリー・スタイルズ(ガーディアン)

賭けサイト:ビヨンセ

―― レコード賞
アデル(ピッチフォーク、ガーディアン)
ハリー・スタイルズ(USA Today、Vulture)
リゾ(LAタイムズ)

賭けサイト:アデル

―― 楽曲賞(作曲家に贈られる)
アデル(LAタイムズ、ピッチフォーク、USA Today)
ハリー・スタイルズ(Vulture、ガーディアン)
リゾ(ガーディアン)

賭けサイト:アデル

―― 新人賞
Molly Tuttle (LAタイムズ)
Omar Apollo (ピッチフォーク)
Maneskin (USA Today)
Wet Leg (Vulture)
Latto (ガーディアン)

賭けサイト:Anitta

―― 最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス
コールドプレイBTS(LAタイムズ、Vulture)

―― 最優秀ロックソング
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(ピッチフォーク、Vulture)

ここでアルバム賞以外にも、注目なのは、新人賞が全メディア分かれていること。毎年新人賞を予想するのは一番難しい。また、最優秀ポップデュオで毎年ノミネートされ続けて受賞していないBTSも、今回こそ取ると予想されている。彼らも、毎年出演する度に、「世界一のポップスター」と言われ続けているので、いい加減もらうべきだと思う。

どちらにしてもどの部門も、どの作品が一番優れているのか?と考えるよりも、どれをグラミー賞が選びそうか?を考えなくちゃいけないところがなんとも言えない。


3)パフォーマンスするアーティスト

―― 毎年ギリギリまで増えるし、サプライズで出演するアーティストもいるけど、現時点でパフォーマンスが発表されているのは:

バッド・バニー
メアリー・J. ブライジ
ブランディ・カーライル
ルーク・コムズ
スティーヴ・レイシー
リゾ
サム・スミス
キム・ペトラス
ハリー・スタイルズ

―― クエストラヴのプロデュースするヒップホップ50周年パフォーマンス

今年はヒップホップ50周年を記念して特別なパフォーマンスが行われる。
出演するのは、
BIG BOI, BUSTA RHYMES WITH SPLIFF STAR, DE LA SOUL, DJ DRAMA, DJ JAZZY JEFF, MISSY ELLIOTT, FUTURE, GLORILLA, GRANDMASTER FLASH, GRANDMASTER MELE MEL & SCORPIO/ETHIOPIAN KING, ICE-T, LIL BABY, LIL WAYNE, THE LOX, METHOD MAN, NELLY, PUBLIC ENEMY, QUEEN LATIFAH, RAHIEM, RAKIM, RUN-DMC, SALT-N-PEPA AND SPINDERELLA, SCARFACE, SWIZZ BEATZ, AND TOO $HORT

LL Cool Jもイントロで登場しパフォーマンスする。

―― 追悼
今年は追悼がいつもよりスペシャルな内容になる。

Takeoffの追悼をQuavoとMaverick City Musicが。
クリスティン・マクヴィーの追悼をミック・フリートウッドと、シェリル・クロウと、ボニー・レイットが。
ロレッタ・リンの追悼をケイシー・マスグレイヴスがそれぞれ行う。

―― プレゼンターで登場するのは、
オリヴィア・ロドリゴ
カーディ・B
ヴィオラ・デイヴィス
シャナイア・トゥエイン
ジェームス・コーデン
ビリー・クリスタル
ドウェイン・ジョンソン
ジル・バイデン

司会は、3年目のトレバー・ノアだ。彼はこれまで夜のトークショーをやっていたが、去年末に突然辞めたばかり。個人的には夜のトークショーの中で唯一にしてダントツ面白くて斬れていると思っていたけど、なぜかグラミー賞になるとミュージシャンを尊敬しすぎるのか、これまでは割と無難な司会だった(笑)。

さて今年のグラミー賞の結果はどうなるのか? 可能な限り期待しないで観たいと思う。

日本の放送はこちら。
2月6日(月)午前9時から。午後10時から再放送。
https://www.wowow.co.jp/detail/186772



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