3月10日はいよいよオスカー授賞式だ。日本では、3月11日(月)午前7時〜と、午後9時〜放送される。
https://www.wowow.co.jp/extra/academy/
今年は、日本作品も多くノミネートされているが、現時点では、米メディアの多くで、『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞で受賞すると予想している。
https://ew.com/2024-oscar-predictions-who-will-win-8576260
アニメ部門では、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がノミネートされていて、宮崎監督がノミネートされるのはこれで4回目。過去には、『千と千尋の神隠し』で受賞しているので、今回取れば2回目となる。現時点では、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が受賞する予想が多いが、宮崎監督への多大なる敬意を考えるとまだ分からないとも思う。
さらに国際長編映画部門で、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の『PERFECT DAYS』がノミネート。この部門は、毎年そうだけど、各国から強豪がひしめくので、かなり難しいかもしれない。現時点では、『関心領域』が取ると予想されている。
また、すでにオスカーを2回も受賞している日系アメリカ人のカズ・ヒロが、『マエストロ:その音楽と愛と』で再びメイクアップ&スタイリング部門を受賞するかもしれない。
ただ今年の最大の見どころは、『オッペンハイマー』が総なめすると予想されていること。
去年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』も7部門も受賞して総なめという感じだったが、『オッペンハイマー』はその上をいく8部門受賞が予想されている。作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞、作曲賞、音響賞、編集賞だ。8部門受賞すると『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)以来の快挙となる。
しかしこの”原爆の父”を描いた『オッペンハイマー』がオスカーで歴史を作る直前に、ハリウッドでは、ジャクソン・ブラウンやアニー・レノックス、またオッペンハイマーの孫であるチャールズ・オッペンハイマーが、LAタイムズの一面に、”『オッペンハイマー』と核戦争に関してハリウッドへの公開文書”を掲載した。これは、映画『オッペンハイマー』は今年のオスカーで歴史を刻むことになると思うが、”核の脅威”も歴史(過去のもの)にしよう、という訴えだ。今回のオスカー受賞を機に、声を上げて、オッペンハイマーが開始したことを、みんなで一丸となって終わりにしようというもの。#MakeNukesHistory
以下が公開文書。
https://www.makenukeshistory.org/open-letter
この公開文書には、その他、グラハム・ナッシュ、ジェーン・フォンダ、エマ・トンプソン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ダグラス、ヴィーゴ・モーテンセン、クリステン・スチュワートなども署名している。「映画『オッペンハイマー』には、核兵器の起源、マンハッタン計画の歴史、そしてその後の軍拡競争やさらに威力のある兵器の開発に関するロバート・オッペンハイマーの警告が描かれている。
オッペンハイマーの警告は正しかった。現在9カ国が、13000の核兵器を保有していて、その中には1945年に広島、長崎を破壊したものよりも80倍の威力があるものもあるから。
我々はアーティストとして、提唱者として、ここで声を大にして主張したい。『オッペンハイマー』は歴史を刻むことになると思うが、核兵器は歴史(過去のもの)にはなっていない、ということを。現在、非常に不安定な時代において、陸に、海に、空に、または宇宙に、核兵器が1発でも投下されただけでも大きすぎる問題となる。
我々の家族を、コミュニティを、世界を守るために、世界のリーダー達に、核兵器を過去の歴史にして、明るい未来を築くために努力するよう要求しなくてはいけない」
『オッペンハイマー』は、実際今年のオスカーを総なめにすることになると思うが、やはり日本人としては複雑な心境を抱かざるを得ないと思う。日本の公開は、3月29日。どう思うのか、自分の目で観て確かめて欲しい。
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