新曲が届くたび、そこに“らしさ”と“新しさ”の両方が感じられること。それはアーティスト自身にとってもファンの側にとっても理想であるはずだし、それが続いていくことで双方を繋ぐ信頼関係はいっそう強固なものになっていく。それを絶妙のバランス感覚で実践し続けているのがブリング・ミー・ザ・ホライズンではないだろうか。
1月5日にリリースされた最新シングル“クール・エイド”もまさにそんな楽曲だ。すぐさま大観衆をひとつに束ねてしまいそうな求心力の強さを感じさせるこの最新曲は、1月9日に幕を開けたUK /アイルランドを巡演するアリーナツアーでもさっそく披露されている。ここ最近の一連の楽曲で作曲及びプロダクションに関わってきたPaleduskのDAIDAIの関与が継続している事実も見逃せない。国外での活躍が目ざましい福岡出身の同バンドは、昨年10~11月に行なわれた『NEX_FEST』でも重要な役割を担っていたが、オリヴァー・サイクスの世界の音楽地図を見渡す視界の広さや視点の鋭さについては、さすがとしか言いようがない。
昨年末にはキーボード/パーカッション担当のジョーダン・フィッシュの突然の脱退劇に驚かされたものだが、その別離はあくまで友好的なもので、バンド側は自分たちの進化の過程における彼の貢献を讃える声明を発表し、ジョーダンの側も「一緒に達成したことすべてを誇りに思っている。彼らがこの次に何をやるのかを楽しみにしている」とのコメントを発信している。
実際、何よりも気になるのは、今年登場することになる待望の次作アルバム『ポスト・ヒューマン:ネックス・ジェン』で、彼らがどんな“新しさ”を取り入れ、いかに“らしさ”に磨きをかけているかだ。
ごく最近では、映画『バービー』への提供楽曲がゴールデン・グローブ賞で楽曲賞に輝いたことを報告するビリー・アイリッシュのSNS上の投稿に対し、オリヴァーが“リムジン”という謎めいたコメントを寄せたことから「次作収録予定の“リムジン”という曲をビリーとコラボしているのではないか?」との噂も巻き起こっているが、それが単なる噂で終わるはずはないし、ごく近いうちに真相が明かされることだろう。まさしく現代を象徴する両者のコラボがどんな形で結実に至るのかも楽しみだし、当然ながら彼らが用意しているサプライズがそれだけであるはずはない。2024年も、やはりこのバンドの動きから目が離せない。(増田勇一)
ブリング・ミー・ザ・ホライズンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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