なんて恐ろしく、催眠的な魅力を放つMVだろう。これは、lukiという孤独で誰にも似ていないアーティストが、9月9日発売の新作アルバム『黒うさぎ』で未知のステージに踏み込んだと同時に、それが生死の根源を揺さぶる危険なポップであることを示す圧倒的な1曲だ。


曲名の「黒うさぎ」とは何のことか。lukiが歌う、彼女の「汚いところ」を食べてくれる動物とは、もちろん闇や狂気、そして死のメタファーだ。えも言われぬ魅力を放つそれを、lukiは常に心の中に飼っている。そして、そんな黒うさぎが実は誰の心にもいることを、彼女は冷徹に見抜いているのだ。それをlukiのフィルター越しのポップソングに変えた時、研ぎ澄まされたビートと歌謡性のメロディが絶妙に溶け合う、これほどの曲が生まれるのである。


そして、公式サイトでアルバムの全曲試聴が始まっている。
http://lukirock.com/discography
これまでのluki作品の中でも最もポップで、わかりやすさと同時にこの世界の不条理と矛盾全てを表現するような射程を備えた作品だと思う。


CUT10月号にも、インタビューが掲載されます。ぜひ読んでください。（松村）