「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ - All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)All photo by 落合由夏(Ochiai Yuka)


●セットリスト
01. 世界は変えなくていい
02. アイスグリーン
03. ホームタウン
04. 四角い箱にいた頃
05. 落ちた林檎
06. ユナイタマ
07. 壁の一週間
08. 朝日のあたる家(アニマルズカバー)
09. ハイエナ

(アンコール)
10. フーチー・クーチー・マン(マディ・ウォーターズカバー)
11. Boom Boom(ドクター・フィールグッドカバー)
12. 麦わら帽子


『CUT』主催によるトーク&ライブ複合イベント「CUT NIGHT」の記念すべき10回目が9月11日、下北沢シャングリラで開催を迎えた。今回は初の有料開催となり、CUT編集長・渋谷陽一によるトークパートを増強した内容に。『ロッキング・オン』創刊から50年の歴史を貫いてきた思想、そこから生まれた最新プロジェクトについてまで約1時間20分の濃密なトークが展開された。

  • 「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ
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そしてシンガーソングライターlukiによる恒例のライブ。朗読劇のように本をめくりながら1曲目を歌う演出は前回に続いてだが、楽曲は前回から変わって2013年にリリースされた『パープル』からの名曲“世界は変えなくていい”。幅広い音楽性に挑戦しながら、揺るがず一貫性のあるメッセージを歌い続けてきた彼女の強さを象徴する1曲で、今日のライブへの真摯な思いにいきなり心を撃たれる。“アイスグリーン”“ホームタウン”“四角い箱にいた頃”“落ちた林檎”ユナイタマ“と情景を喚起する力の強い楽曲が次々と展開していく前半の流れは、美しい照明も相まって、まるで舞台作品を見ているようだった。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

途中、ドラムの張替智弘が今日は靴からドラムの高さまでチャーリー・ワッツ仕様で臨んでいるということをlukiが明かすが、有機性と無機性の間をスリリングに揺れるリズムを刻む手さばきにもリスペクトが込められているように見えた。円山天使(G)、山本哲也(Key・G)含めて音楽愛と遊び心がバンドアンサンブルに溢れているから、lukiのライブはいつも温かい。一方で、今日が9月11日で「祈りを捧げる日だと思っている」とlukiが語り、“壁の一週間”が歌われると、彼女がこのライブに込めていた覚悟とメッセージの重さが会場を包み込み、身じろぎもできなくなる。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/下北沢シャングリラ

こうして書いていると既にハイライトだらけのライブだが、最大の衝撃はこの日、初披露だった“朝日のあたる家”のカバーだ。アニマルズのバージョンを元に、大胆な日本語訳をluki自身がつけて歌われたパフォーマンスは、まさに洋楽の濃密さと日本の風土の融合であり、圧巻のハープソロには会場全員が息を呑んだ。
本編ラストでは最強のヘヴィロック“ハイエナ”を炸裂させ、アンコールでのマディ・ウォーターズ“フーチー・クーチー・マン”、ドクター・フィールグッド“Boom Boom”日本語カバーの流れは、もう観客たち待ってたとばかりの喝采の嵐。

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ラストは”麦わら帽子“の《哀しみは明日を生きる力/痛みは誰かを愛す力》という力強い詞と共に、ロックに伝えられる希望の在り処を示し、luki史上最もエンターテインメントに溢れたステージは華やかに、深い余韻を残しながら幕を下ろした。(古河晋)

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