「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai - All photo by 山川哲矢All photo by 山川哲矢


●セットリスト
01. 落ちた林檎
02. ユナイタマ
03. more
04. KISS OR KILL
05. SSRI(新曲)
06. 壁の一週間
07. 朝日のあたる家(アニマルズカバー)
08. アイスグリーン
09. 瓶とスコール

(アンコール)
10. Creep(レディオヘッドカバー)
11. Boom Boom(ドクター・フィールグッドカバー)
12. ハイエナ


『CUT』主催によるトーク&ライブ複合イベント「CUT NIGHT」Vol.11が1月23日、開催を迎えた。今回から会場の規模を大幅に拡大。ステージに巨大なLEDが設置された未来型のライブスペース・池袋harevutaiに多くの人が集まった。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

『CUT』編集長・渋谷陽一によるトークのテーマは「リアリティ・ショー化する世界のポップス・シーン。それはジョン・レノンから始まった?」。そのタイトルが物語っている通り、ポップ・ミュージックの現在から、ロックの持つ本質的な力までが大きなストーリーとして語られた濃厚な約1時間半は、まさにトークによるライブだ。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

そしてシンガーソングライターlukiによる恒例のライブ。毎回、美しい衣装でも楽しませてくれる彼女だが、今回はレースとニットを組み合わせた、シックなモノトーンの衣装で登場。“落ちた林檎”“ユナイタマ” “more” “KISS OR KILL”という冒頭4曲で、「儚さ」「優しさ」「情熱」「狂気」が美しいグラデーションを描くlukiの歌世界に一気に引き込む。harevutaiという会場の持つ磁場と、彼女の音楽が持つポップ・ミュージックとしての新しさが見事にシンクロしている。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

そして披露された新曲”SSRI“がこの日のライブのひとつめのハイライトとなった。抗うつ薬の名前を持つこの楽曲の生まれた背景を、自身の体験と共に語った上で歌われたことによって、そのパフォーマンスは会場にいる人すべての心に深く刺さり、楽曲が持つ解放のメッセージが力強く伝わったはず。トークパートで語られた最新型のポップ・ミュージックが持つリアルを、lukiという表現者を通しても感じられた一幕だった。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

後半も“朝日のあたる家”のカバー、そして巨大LEDを活かしてスケール感を増して表現された“アイスグリーン”“瓶とスコール”と見どころしかない展開で本編を終了。しかし熱いアンコールに応えて登場し、初披露されたカバーが、またもや衝撃だった。今回、彼女がセレクトしたのはレディオヘッドの名曲“Creep”。緊張感の中に温かみを宿したゆったりしたジャズ・アレンジを基調にしながら、原曲の歌詞の中に滲む男性ならではの自己憐憫の恋愛感と対を為す、痛烈かつ慈愛に満ちたオリジナルの日本語詞を乗せたアンサーソングだ。「こんな詞をなぜ書けるんだ」という驚きに包まれながら、自身の言葉に導かれて解き放たれていくlukiの歌にひたすら圧倒される。

「CUT NIGHT」lukiスペシャルライブ/池袋harevutai

メンバー紹介で一息ついた後、”Boom Boom”のカヴァーと”ハイエナ“の熱い演奏で幕を下ろしたステージが残したのは、プラスの感情もマイナスの感情も含めて自分の存在すべてを音楽に投じながら、誠実にクリエティブに向き合うロックな表現者としてのlukiの覚悟だった。(古河晋)

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