リリース前の“ゴーストタウン”がすでに最大のアンセム化!? シーン要注目のSHO-SENSEI!!が巻き起こす熱狂、希望、鳴り止まないシンガロング──大阪ワンマンレポート

リリース前の“ゴーストタウン”がすでに最大のアンセム化!? シーン要注目のSHO-SENSEI!!が巻き起こす熱狂、希望、鳴り止まないシンガロング──大阪ワンマンレポート - All photo by Goku NoguchiAll photo by Goku Noguchi
9月25日、SHO-SENSEI!!が大阪・梅田クラブクアトロでワンマンライブ「SHO-SENSEI!! OSAKA ONE MAN LIVE 2024」を行った。チケットはソールドアウト。SHO-SENSEI!!のステージをワンマンでじっくり堪能できるという期待感はもちろんのこと、ファンがこの日、密かに楽しみにしていたのは、10月16日にリリースされる“ゴーストタウン”を、ライブで一足先にフル尺で体感できるということだっただろう。ライブの数日前からSNSではショート映像がアップされていて、その切なくも熱いフックの断片にファンの期待値は膨れ上がっていたはず。開演前からフロアは熱気に包まれていた。

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ライブは去年リリースされた“Years&Years”でスタートした。SHO-SENSEI!!の盟友であるプロデューサーの10pmが、ライブの幕開けにふさわしい、新たな扉が開くようなスケール感のあるトラックを投下すると、すぐさまフロアからは歓声が上がり、細川千弘(ex. KOTORI)が刻む生のビートがさらに会場の空気を熱くしていく。そこに登場したSHO-SENSEI!!を観客が大歓声で迎える。《新大阪を抜けて、東京。》《見えてるのは、先の事。》《少しすると、もう10年後/その時は君とだけ笑いたい。》というリリックが妙に沁みる。 “shutter”では歌い出しからフロア中でシンガロングが巻き起こる。そのエモーションを受け止めて、SHO-SENSEI!!の歌声にさらに熱がこもる。“サテライト”の短いイントロにも即反応してシンガロングで応えるオーディエンス。そのレスポンスの早さには、誰もがSHO-SENSEI!!の歌の「言葉」を大切に心に刻んでいることを実感させられる。そんなシーンがこの日のライブには何度もあった。

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キラーチューンからレア曲、リリースされたばかりの新曲など、ほとんど間断なく繰り出される楽曲たち。SHO-SENSEI!!が放つ言葉の輪郭はビビッドで、ダイレクトにフロアのファンに突き刺さる。どこか乾いた空気で語られる青き物語、その中に言いようのない孤独や寂しさ、そしてやさしさと希望とが滲む。彼の出自であるヒップホップは、その「言葉」を伝える最良の手段のひとつであり、ポップミュージックとしてのメロディやサウンドがその言葉を補強する。10pmが自在にアレンジを加えながら繰り出すトラックも、細川のドラムも、SHO-SENSEI!!のスピリットとシンクロし、さらなるグルーヴを生み出していく。“メトロポリタン20.905”でもギターアルペジオのサウンドがじわじわと都会の哀愁や諦念といった感情を滲ませ、“電子レンジ”で叩き出されるエイトビートは、力強いロックサウンドを表現しながら、心地よいダンスチューンとしても響くのだ。

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「楽曲は、リリースする前は自分でも聴くけど、出してからはまったく聴かなくなる」という話から、「出す前に、いちばん好きだった曲をやります」と言って繰り出した“望遠鏡”。すかさずフロアからは特大のシンガロングが応える。続く“Orion”“Thunder”でも、ステージとフロアで交わされる呼応はさらに有機的なバイブスを生み出していったが、「そろそろ上げていこう」と言って始まった“国道”が、より高いクライマックスへと導いていった。SNSでこの楽曲のライブ動画を目にしてSHO-SENSEI!!の存在を知り、彼の音楽に心を奪われた人も多かったはずだ。フロアの揺れも大きくなり、ステージ上の3人の熱量もぐいぐい高まっていくのがわかる。さらに“Diamond”ではフロアからのコールも力強く、《優しい人になりたいないつか》と大合唱。その歌声の響きには、会場中一人ひとりの思いが強く表れていた。そこからの“道路工事”。ひとつの恋の終わりの切なさ、寂しさを滲ませるこの楽曲もまた、SHO-SENSEI!!の代表曲だ。サビの大合唱の強さに、多くの人がこの曲に心を重ねていることがわかる。これまでならこの中盤の流れこそがライブのピークであったはずで、この日のテンションの高まりも相当なものだった。しかし、今日いちばんのシンガロングの光景は、このあと目の当たりにすることとなる。

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「せっかくの大阪でのワンマンだから新曲を作ろうと思った。大阪のみんなのために持って来た曲がある」と、いよいよ“ゴーストタウン”の初披露へ。もちろんリリース前の新曲ゆえ、ファンが耳にしているのはSNSにショートでアップされていたフックのみのはずである。にもかかわらず、ギターロック的なエモーショナルなトラックと確信に満ちたビートが熱く響くと、フロアは波打つように大きく揺れ、この日のライブのクライマックスをさらに更新するように一気に熱が充満していく。高く拳が突き上げられ、コールの声が高まる。SHO-SENSEI!!の歌が響き渡ると、その「言葉」にフロア中が引き込まれていった。そして、曲の途中でSHO-SENSEI!!は突然「みんな低くしゃがんで」と呼びかけた。オーディエンスはこのあとに「来る」フックへの高揚感を抑えながら屈む。待ちきれない。その瞬間に放たれた歌の爆発力は凄まじかった。全員がこの日いちばんの高いジャンプで熱狂を表現し、《腕の中/眠るんだ/全部全部終わったみたいにさ》と、とびきりのシンガロング。未発表にして初披露の楽曲が、すでに最大熱量のアンセムと化していた。SHO-SENSEI!!の新境地とも言えるこの楽曲は、誰とも共有できないやりきれなさ、寂しさ、儚さを歌う。SHO-SENSEI!!のこの「歌」は、今後J-POPシーンにも広く浸透していくものになるだろう。この日のライブはそれを確信させた。


その熱狂の余韻を残したまま、「次は、これもまだライブで一度もやっていない曲、“THOUSAND LIGHTS”」とタイトルを告げると、フロアからは悲鳴のような歓声が起こる。楽曲に合わせてスマホの光が揺れる美しい光景を生み、“ミシン”“サザン”と続く流れには、客席からも「最高!」の声が飛ぶ。そして「10年くらい前、曲を作ったときには誰も聴かないだろうと思って出した曲。最近やってないので、久しぶりにやります」と“LEGO”をドロップ。SHO-SENSEI!!初期の軸ともなっていたトラップサウンドがダークにフロアの空気を塗り替えていく。初期のトラップ要素の強い展開は“where u at”、そして“Map”へと続き、ベースミュージック的なヒップホップサウンドでクールに観客たちを踊らせる。これもまたSHO-SENSEI!!のライブの魅力だ。

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いよいよライブも終盤。「次もまた(ライブで)初めてやる曲」と言って始まったのは“夏に嫌われている”だった。今年の夏にリリースされたばかりの曲だが、ひたすら暑く長かったこの夏を終わらせるのにふさわしい歌だ。爽やかなメロディの中に翳りをまとう、SHO-SENSEI!!ならではの夏曲である。これをライブで聴きたかったファンも多かったはず。湧き起こるシンガロングも、行く夏を思うようにどこかエモーショナルだった。

「アンコールはないから」と素っ気なく告げたあとには、現在アルバムを制作中であること、そして来年1月にはツアーが始まることを告知。全国5ヶ所を巡るツアーで、大阪はBIGCAT、東京はSpotify O-EASTと、これまでで最大の規模となるとのこと。この知らせにフロアからは大きな歓喜の声が上がった。そして「あと2曲。マジで2年半くらいやってない曲をやる」と言って、“始発列車”をドロップ。まっすぐに突き刺さるようなロックナンバーで、SHO-SENSEI!!の歌声も、この終盤にきてさらに力強さを増していく。そして「今日は来てくれてありがとう。また1月のツアーで会いましょう」と語りかけたあとは、ラストの“最終列車”。心を震わせるようなビートに乗せて、ライブの終わりを惜しむようなシンガロング。歌い終えたSHO-SENSEI!!は、まだトラックとドラムがアウトロ的に響く中、「ありがとう。また」と言ってステージをあとにした。

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宣言通りアンコールはなし。余韻の冷めない会場にBGMとして“ゴーストタウン”が流れ出し、出口へと向かう人たちが例のフックを思い思いに口ずさんでいた。鮮烈だった初披露のパフォーマンスを反芻するかのように。振り返れば全26曲、駆け抜けるように披露したSHO-SENSEI!!。まさに彼の「これまで」と「これから」を刻みつけるような、熱いライブだった。何より“ゴーストタウン”の熱狂は、現在進行形でSHO-SENSEI!!の音楽が多くの人にとっての「自分の歌」となっていることを実感させた。このモードで制作される新作アルバムがどんなものになるのか、とても楽しみだ。(杉浦美恵)

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●セットリスト
「SHO-SENSEI!! OSAKA ONE MAN LIVE 2024」
2024.9.25 大阪・梅田クラブクアトロ

01. Years&Years
02. だから一枚だけ盗んだ
03. shutter
04. サテライト
05. Oil
06. エレキ
07. メトロポリタン20.905
08. 電子レンジ
09. 望遠鏡
10. Orion
11. Thunder
12. 国道
13. Diamond
14. 道路工事
15. ゴーストタウン
16. THOUSAND LIGHTS
17. ミシン
18. サザン
19. LEGO
20. where u at
21. Map
22. 夏に嫌われている
23. ハナレバ
24. Hundred Thousand
25. 始発列車
26. 最終列車

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