【特集】4人+1500人がとことん歌い続け、共鳴し続けて完全燃焼! Arakezuri万感の初Zeppワンマンをレポート

【特集】4人+1500人がとことん歌い続け、共鳴し続けて完全燃焼! Arakezuri万感の初Zeppワンマンをレポート - all photo by イデタリクall photo by イデタリク
これまで数々のライブを観てきたけれど、1曲目の“ヒーロー”が始まった瞬間に起こったシンガロングのボリュームの高さと熱量といったら、ちょっと記憶にないレベルだった。執拗なアジテートがあったわけでも、そこまでの流れで興奮状態を作り上げたわけでもない、出会い頭の大爆発。しかもみんな、自分の歌として歌っている。自分の歌が乗ることで曲が、ライブが完成することをわかっている。これまでArakezuriが信じ続け、やり続けてきた音楽が見事に形となって現れた瞬間だった。そして恐るべきことに、この総シンガロング状態はおよそ2時間の間、ほぼ絶え間なく続いたのである。

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「ここまで来れたのは、あんたがヒーローでいてくれたからや!」
“ヒーロー”を歌い出す直前、白井竣馬(Vo・G)はそう叫んだ。「ここ」とは、彼らにとって過去最大規模のZepp Shinjuku。この日のライブを発表した昨夏のSpotify O-EAST公演はソールドに届かずだったが、さらにキャパの増えた会場を売り切るというハードルを自らに課し、半年かけてジワジワと枚数を積み上げて本番2日前あたりで成し遂げてみせた泥臭さは、なんとも彼ららしいじゃないか。そういう背景にあるストーリーもライブの熱量に拍車をかけていたのだろう、「俺たちはあんたのヒーローになりに来たし、あんたこそが俺らのヒーローなんだ」というメッセージと呼応して眩く照らされたフロアでは、冒頭からありったけの拳が突き上がり、人が人の上を転がっていく。ライブのタイトルである「HERO's MISSION」=ヒーローの使命とはいったいなんなのかを、初っ端からアティチュードで示す立ち上がりだ。

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軽快な2ビートで走り抜けていく“ドリーマービリーバー”に続いては、“素晴らしい人生”が歓喜の渦を巻き起こし、今にもフロアに突っ込んでいきそうな勢いで声を張りあげる白井。椿佑輔(Dr・Cho)の叩き出す逞しく引き締まったビートに乗った前傾姿勢のアンサンブルを、しっかりと下支えする宇野智紀(B・Cho)のクレバーなプレイも見逃せない。さらに間髪入れずに始まった“キーホルダー”では、お立ち台へと身を翻した石坂亮輔(G・Cho)がヒロイックな泣きのギターソロをバッチリ決める。そんなバンドの地力に裏打ちされたパフォーマンスに加え、《背中は任しとけ》《そのまま進んでいけ》というド直球の激励を、メンバー全員による熱のこもったコーラスで届けてくるのだから堪らない。その中心で揺るがない存在感を放つのは、もちろん白井の強靭かつレンジの広い歌声だ。アルバムツアー等ではなく独立したワンマンということもあり、最新作『ENSEMBLE』から過去の人気曲までずらっと居並ぶセットリストはもはや全曲クライマックスくらいのテンションだが、まだ4曲しかやってない。

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毒々しい照明が会場を染め、鋭利かつダークに歪んだギターと跳ねたビートで攻める“レイジー”がややライブの様相を変えるも、肉弾戦ぶりは変わらず。ファスト&ラウドな“RED”でより一層の狂騒状態へと叩き込んでみせ、「やばい、楽しい! ありがとう!」と声を弾ませる白井。大舞台をソールドできたことへの感謝と喜びを素直に表しつつ、ここがゴールじゃなくまた一からバンドを始めるつもりでやっていくのだと気を引き締めてから、「とりあえず今日のArakezuriはヤバかったって言わせるつもりでやる」と言い放った。

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その後のブロックでは、抑えめの演奏の中に強固な決意が滲むバラードソング“月が綺麗だ”、白井の挫折とそこでの気づきから生まれたという“だめでもともと”とドラマティックな楽曲が続く。「俺は俺を生きるだけ、代わりなんかいないぜ!」という渾身のシャウトは、白井自身はもとより、Zeppを埋めた1500人一人ひとりの魂を震わせ人生をも後押しするような、中盤随一のハイライトとなった。あなたの人生の主役はあなただと、ストレートな言葉で背中を押し、勇気づけていくArakezuriの音楽。愚直な弾丸ロックに搭載した、文字にしたら陳腐になってしまいそうな言葉の数々がなぜこんなにも胸を打つんだろう。かっこいいんだろう。それは超がつくほど本気で彼らが信じることを、全力で届けているから。たとえ初見であっても彼らのなんたるかを100%伝え切るであろう、全身全霊の歌と演奏が続く。

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その一方で、思いっきりリラックスしたMCによる緩急も効いていた。宇野はハマっている編み物の話に熱を込め、椿は今年の抱負として「犬検定を受けて名実ともに犬好きになりたい」という野望を吐露。それぞれの話にツッコミを入れつつ回していた石坂もまた、「ドラゴンクエストXIに大ハマりしたものの、全員レベル99にしたら飽きてしまってラスボスを倒さずやめた」という謎エピソードで、共感と疑問符が半々のリアクションを集めていた。ただ、これまであまりRPGにハマってこなかった要因は、バンドとして普段から仲間と冒険して困難に立ち向かっているからだ、という自己分析はなかなかの説得力を有していたことも記しておく。

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ライブは折り返しを迎え、“シンガロング”からの後半戦がスタート。オーディエンスとともに歌うことで完成すると公言するArakezuriの在り方、アイデンティティをこの上なく体現するバンド讃歌、ライブハウス讃歌を高らかに掲げたあとには、爽快に走り抜ける高速ギターロック“素顔”、ダイナミックな爆発力を発揮する“主題歌”が続く。そして石坂がそっとギターを鳴らす中で白井が口にしたのは、集まってくれた観客への改めての感謝と、これまでの8年間で一度も大ヒットを経験することはなくとも、確かに共鳴する人たちと少しずつ出会ってこれたことを誇りに思う、ということだった。さらに、いつか死んでしまう時に悔いなく「この人生で良かった」と思えるように──と弾き語りで歌い出したのは初期からのナンバー“結果論”。エモーショナルな演奏とともに次第に吠えるような激しさとなっていった歌声が放つ、眼前に広がるパンパンのフロアを前にした《この人生で良かった》のラインには万感の思いが込められていた。

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ラストスパートをかけると宣言してからのラスト4曲は疾風怒濤……かと思いきや、“ウルトラエール”の入りでいきなりミスって即座にずっこけてみせたのはご愛嬌。猛進する2ビートが絶え間ないクラウドサーフの波を生み出し、“くしゃみ”では縦ノリなサウンドでガンガン揺らす。“ピースオブケイク”では白井がついにステージを降りて前柵によじ登り、オーディエンスに支えられながら熱唱。最後の“必然”もこれまで同様、いや、これまで以上の特大のシンガロングで歌いきって本編を締め括った。それにしても、ワンマン尺をこれだけのボルテージで歌い続けた4人はもちろん、それに追随しきったファンもだいぶリミッターが外れている。

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アンコールではアルバムツアー開催も発表。そのうえで、俺たちみたいなバンドがZeppを埋められることが希望になったらいい、自分たちは遅咲きで周りには辞めていった奴もいるけど、続けてきてよかったと噛み締めながら、端正なビートとアルペジオがループするヒップホップ調の“あらすじ”を投下。そこから一気にトップギアに入れて青春パンク然とした“蕾”をぶっ放すと、“クアトリーセンチュリー”では白井がふたたびフロアへ突入、そこを目掛けてクラウドサーファーが続出するカオスな絶景でArakezuri最大の挑戦は幕を下ろした。

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聴き手の背中を押すと同時に、自分たちも背中を押してもらっている──この日何回も口にしていたそんな発言通り、とてつもないエネルギーがステージからフロアへ、フロアからステージへと行き来していた。その相乗効果がライブの勢いを何倍にも増幅させていた。キャパがでかいから跳ね返ってくるパワーもでかいわけで、このスタイルのままステージを大きくしていけるなら、ライブのスケール感は加速度的に増していくに違いない。スポットライトを浴びてクールに決めるんじゃない、汗まみれになって弱さも本音も曝け出すヒーローたちは一体どこまでいくんだろう。それこそ“あらすじ”で歌う《最寄りは九段下駅》だって、そろそろ大袈裟な夢じゃなくなってきている。(風間大洋)

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●セットリスト
Arakezuri one man live 「HERO's MISSION」
2025.1.11 東京・Zepp Shinjuku

1. ヒーロー
2. ドリーマービリーバー
3. 素晴らしい人生
4. キーホルダー
5. たいせつ
6. レイジー
7. RED
8. ラブレター
9. 月が綺麗だ
10. だめでもともと
11. シンガロング
12. 素顔
13. 主題歌
14. 結果論
15. 時代
16. ウルトラエール
17. くしゃみ
18. ピースオブケイク
19. 必然

Encore
20. あらすじ
21. 蕾
22. クアトリーセンチュリー

●ライブ情報
「讃歌斉唱」
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提供:BAR
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部
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