今年の2月にSHE‘Sがシングル”追い風”をリリースした時、まさに今のバンドの追い風の状況を表すようなシングルだと思った。
しかし、それは単純にバズって世の中にその名が知れ渡っていくという意味ではない気もしていた。
《踏み違えて 終わりじゃない/何処でだって待っている未来》
希望を指し示すというよりも、絶望の底でも輝いているような、SHE‘Sがこの2021年につかもうとしている「未来」をしっかりと見届けたいと思った。
そして生まれたニューアルバムが『Amulet』だ。
ジャケットの海辺のピアノから紡がれるようなインスト曲”Rained"から、ゆっくりと立ち上がる”追い風”は今年の初めに聴いた時よりも、重く濃く強く聴こえた。
そして《どうしてこんなに絶望しているのに/生きたいんだろう》と歌うラストの”Amulet"まで、みぞおち辺りにずっと止まってフツフツと力を湧き立たせてくれるような曲ばかりが続く。
「今こそ聴くべき音」というよりも「今からずっと聴きながら生きていくべき音」が鳴り続けている、本当に素晴らしいアルバムだ。(古河晋)
JAPAN最新号にインタビュー掲載中。
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SHE'Sが“追い風”に乗ってつかんだ『Amulet』とは?
2021.10.07 20:15