ミテイノハナシとの出会いは3年前、“憂鬱、日々”という曲がきっかけだった。
歌い手としてカバー動画をアップしていたAru.が、オリジナル曲を歌うときの名義がミテイノハナシ。
冒頭から美しいメロディに引き込まれ、その期待感が裏切られることなくBメロ、サビへと展開するクオリティの高さが光るこの曲は、当時まだ17歳という若さで発表されたもの。繰り返される憂鬱な毎日の生活にも、小さな希望を求めて懸命に生きようともがく様を描いた歌詞の切なさが際立っていた。
その後もオリジナル曲を発表し続けていたが、2022年5月を最後にMVなどの更新が途絶えていた。それでも、コロナ禍の日々の中で、この曲がずっと私の心の片隅にいて、ミテイノハナシという才能を忘れることができずにいた。
そして昨年の秋、充電期間を経てついに本格再始動を宣言。年末には、誕生日の3月13日に1stアルバム『CRYSTAL.』をリリースすることを告知し、2022年にテレビアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のエンディング主題歌に起用された“飛ぶ鳥は”のMVも新たに公開した。
約2年前に発表された曲だが、これから再び音楽の道を進んでいくAru.の決意とリンクするように聴こえる。
《泣いていた 過去を振り払うように/日々を生きる命のこと/ここから書き足していこう》——これからミテイノハナシがどんな音楽と言葉を聴かせてくれるのか、2024年の音楽シーンにどんな風を吹かせてくれるのか、楽しみで仕方ない。(有本早季)
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