EMINEMとKURT COBAIN

EMINEMとKURT COBAIN

「WE MADE YOU」のクリップを観ていると、
つくづくEMINEMには怒りや憤りを笑いに変換する装置が備わっていて
よかったと思ってしまう。
というか、そもそもラップには、
告発や憤懣をエンターテインとして成立させねばならない前提があるから、
それを誰よりも大胆にベタに行使できるEMINEMの今回のクリップもまた、
ああしたものになったのだろう。

映画「8 MILE」に描かれた彼の「半生」がどの程度正確なのかはさておき、
1990年代末期に突如表れたホワイト・ラッパーは、
その出自としては当時の時代を色濃く背負う、
まさに「オルタナティヴ」で「グランジ」な背景を持った青年だった。
そこには崩壊したリビングルーム(EMINEMの場合はトレーラーか)と、
なんだかとてつもなく息苦しそうな未来が同じようにあったのだ。
違っていたのは、ギターをどれだけ歪ませるかが、
マイクに向かって早口でまくしたてることに変わったことくらいだったんじゃないか?

けれど、冒頭で書いたように、
ラップという装置はギター青年の文学性とは違うスキルを当事者に付与するのだろう。
EMINEMは、それでも、生き続けている。
それは、スターを揶揄する今回の曲が、
「WE MADE YOU」と位置づけられていることからもわかる。
ギター青年の永遠となったKURTは、
それを「RAPE ME」と表現していたのだから。
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