ロックにとって発明とは何か

ロックにとって発明とは何か

2009年もそろそろ振り返ってもいい頃合になってきた。
そこで今年、いちばんインパクトというか、ロックにとって有益(?)だった作品はなんだったかなと思うと、
まずはDirty Projectorsのアルバム、『Bitte Orca』を思い出す。
女性ふたりのコーラス・ワーク、しなやかにクリアに洗練されたギターの音色、それらが、
変拍子とブレイクと強烈なメロディの複雑な組み合わせを行き交いながら、
これまで聴いたことのなかった音楽的体験をもたらしていた。

ロックにとって「3コード」が常に意識すべき「原初」であるのは、それが「いつか戻るべき黄金律」ではなく、「ロックはそのように、誰もが等しく(普遍性)沸き立ってしまう(衝撃性)音楽的新構造を発明し続けること」だということを思い出させるからである。あの「3コード」は、誰もが驚き、次の瞬間にはもうそれしかないと確信できたミラクルな発明だったわけである。そして、ロックのムーヴメントの特異性は、そのような「新たな構造の発明」が時代の移り変わりの中から必然として立ち上るところにある。

Dirty Projectorsがこの作品で提示したのは、まさしくそのような時代の要請を敏感に感知した知性による、新たな音楽の発明への欲望だ。そして、いうまでもなく、それは素晴らしい果実となって収穫されたのだ。

彼らはこの秋、本アルバムから2曲をあらためてカットし、新曲2曲を加えたEP『Temecula Sunrise』をリリースしている。その新曲のうちの1曲「Ascending Melody」が下記から聴ける。

http://hypem.com/track/943721/Dirty+Projectors+-+Ascending+Melody

『Bitte Orca』の方法論がどのように正しいか、まるで精査しているようなナンバーである。
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