現在発売中のロッキング・オン2月号では、エリック・クラプトンのインタビューを掲載!
以下、本インタビューの冒頭部分より。
「それまではカントリーミュージックを全然好きになれなかった。やたら感傷的なだけだとね。だけどザ・バンドはそのギャップを埋めた。彼らはカントリーにそれまでなかった鋭さを持ち込んだんだ」
家は心のよりどころだと言うけれど、それならエリック・クラプトンは、この広大な田園地帯の隠れ家に自分の感情を閉じ込めているのだろう。ハートウッド・エッジ(Hurt=傷ついた)といういかにもふさわしい名を持つその場所に。思わず息をのむようなギターソロを詰め込んだコンピレーション盤のどの1枚よりも、この平穏なサンクチュアリにつけられた名前こそ、エリック・クラプトンという人間を露わに示している。家庭の温かみと平穏に包まれながらも、やはりリビングルームはリハーサルルームを思わせる。クラプトンは手作りの美しいドブロギターで慎重に曲をつま弾いている。
ドン・ウィリアムスのアルバムを爆音で響かせているスピーカーは、普通の家にあるようなステレオには見えず、ステージ上の屈強なアンプのようだ。ボール箱の綴じ目が裂け、入っていた何百枚ものレコードがアンティークのチェストの上に崩れ落ちている。そのレコードの山も、彼の幅広い音楽志向を如実に示すものだ。お気に入りのギターが数本ソファに鎮座し、彼の背後ではドラムのフルセットとフェンダー・ローズ・ピアノが振り向いてほしいと願っている。クラプトンはもはや世間の要求と自分自身の優先事項の間の細い線をたどってはいない。彼自身の闘いは健康的な地点に行きついた。もう彼には息をつく場所ができたのだ。
「今はいつもいろんな人たちの曲を聴いて、すごく影響を受けている」。ドン・ウィリアムスが流れ続ける中で彼は言う。「レコーディングにかかる時になると、スタジオに行って何か新しいものをやろうとする。すると、また僕自身が出てくるんだ。高慢にはなりたくないけれども、僕は、僕の音楽でみんなを惹きつけたいんだ。それ以外のどんなことでもなく。もしみんなが誰のレコードか知らないまま聴いて、それで気に入ってくれたら、僕の勝ちということ。名前の力や僕にまつわる伝説のせいで売れたんじゃないという証明だからね」
ヤードバーズと組んでいた頃から常に個性的スターよりもまずミュージシャンとしての存在を好んだ内気なギタリストは、大人気を博したクリームのファンに背を向けた。そして彼は、スポットライトから逃れるほうを選ぶ。そもそもデレク・アンド・ドミノスは、当初その前提で結成されたグループだった。
「アメリカツアーで“デレク・アンド・ザ・ドミノス・フィーチャリング・エリック・クラプトン”となっていたのに気づいた時はすごく腹が立って、事務所に電話をかけて大喧嘩した。当然向こうはチケットを売りたかったんだろう。だけど頼むよ、僕はとにかくグループの一員でいたかったんだ」。『いとしのレイラ』が最初にリリースされた時、デレクがエリックだと知る人は誰もいなかった。だが正体が明らかになるや、絶賛とへつらいがとてつもない規模で膨らんでいく。そこに取り込まれたクラプトンは、すぐさま世間の目から逃れ、冬眠動物のように引き籠る生活へと転じてしまった。
「今では、感情のすべてをギタープレイではなく曲作りにつぎ込んでいる」。口調を強めて言うと、これから何本も空けることになるビールの最初の1本をぐっと飲み干した。「なくしてはいけない大事なものとは、テクニックではなく気持ちなんだ。長い間ずっとそれを心掛けてきた人の曲を聴けば、どのレコードにも必ず共通したものが流れているはずだ。みんなが僕に一つのものだけしか期待しなくても構わない。ただ、ある一つの確かなものに気づいてくれないことが問題なんだ。僕の外側が変わったから何だってんだ、くそ!」。彼は苛立ちを吐き出す。「だからって僕の中身まで変わった訳じゃない」
(以下、本誌記事へ続く)
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