2008年、この一枚 その3


メタリカ「デス・マグネティック」前作「セイント・アンガー」から5年、ようやくメタリカがファンの期待に全面的に応える力作を完成させた。メンバー同士の確執、ジェイムズ・ヘットフィールドのアルコール依存症、多くの問題点をアルバムを作りながら乗り越えた前作と違い、明らかにここには新たな攻撃を始めたメタリカがいる。僕は王道ファンではないので、前作のどこか過剰に情緒的な感じが好きだったが、やはりファンにとってはこの作品こそが待ちに待ったものだろう。ハードロック、あるいはメタルが様式ではなく、時代的な必然を持ったスタイルである事を証明する数少ないバンドの見事な復活作である。
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