日経ライブレポート「イマジン・ドラゴンズ」

最新シングル『サンダー』が全世界的にヒットし、グラミー賞でも2部門にノミネートされている。まさに今、一番勢いのある若手ロック・バンドである。世界的にはスタジアムやアリーナでツアーを行うパワーがあるが、日本での人気や知名度はまだそのレベルに届いていない。この日のお客さんは5千人を超えたが、外国の方の比率が高かった。英語のMC(トーク)に対するリアクションが、まるで日本でないように自然なのが彼らの日本での位置を象徴していた。

ダンス系やポップス系の音が主流の現在のポップ・ミュージック・シーンにおいて、彼らは珍しいくらい王道のロックを鳴らす。過剰なアレンジはなく、シンプルにギター、ベース、ドラムの音をストイックに組み立てていくスタイルだ。ヴォーカルも力強くストレートに歌いあげていく。一般的な音楽ファンにとって彼らは汗臭いロック・バンドというイメージだと思う。

しかし実際は古典的なロック・サウンドとはかなり違う。まずメロディーがとてもモダンである。テイラー・スウィフトエド・シーランといったトップ・アーティストと同じように、ロック、ポップ、ソウル、ヒップホップといったジャンル全てを内包するボーダレスで現代的なメロディーを彼らは持っている。

アレンジも、とりあえずロックという衣装はまとっているが、とても柔軟で自由である。メンバーの多くがバークリー音楽大学出身という音楽的な地力の強さが、その自由さを支えている。終演後のBGMがボーダーレスでポップな偉大な先輩であるポール・サイモンだったのがいかにも彼ららしかった。
1月9日、東京体育館。

(2018年1月26日 日本経済新聞夕刊掲載)
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