JAPAN今月号の取材後記(ヒゲダン、Vaundy、USG、アジカン、吉井和哉+渋谷龍太)

今月号で僕がインタビューを担当したのは表紙巻頭のOfficial髭男dismとVaundyとUNISON SQUARE GARDEN斎藤宏介とASIAN KUNG-FU GENERATION、そして吉井和哉×渋谷龍太の対談の5本でした。

ヒゲダンのインタビューはなんと3年ぶりでしたが、メンバー4人はなにか吹っ切れたように明るくてポジティブで、ほんとに新作アルバム『Rejoice』の感じそのまんまで(『Rejoice』が今の4人の感じそのまんま、という方が正しいでしょうね)、これまでのインタビューでは必ずあった「論点」とか「争点」のようなものがなくて逆に新鮮でした。「喜びを感じる」という意味の『Rejoice』というタイトルは本当にこのアルバムに、そして今のヒゲダンにぴったりだと思えた取材でした。

Vaundyのインタビューは僕が最近の自分の仕事の中で最も楽しみにしているものの一つで、今回もとても楽しかった。Vaundyが世に解き放つポップソングを思想と理論と言葉で解き明かしていくスリルも、そこには必ず価値ある答えが用意されているという充足感もVaundyのインタビューでしか味わえない感覚です。作品を語り合う文系的な面白さと、難しい因数分解を解く理系的な面白さと、両方味わえるインタビューに今回もなりました。

UNISON SQUARE GARDENのインタビューはいつもだいたい田淵智也がメインで話すパターンになるので今回は斎藤宏介の頭の中を覗き込むようなアプローチで単独でのキーワードインタビューに挑んだのですが、やっぱり斎藤くんはUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介そのものであり、裏も表もない真っ直ぐな人だという印象を持ちました。それってUNISON SQUARE GARDENに感じる印象と同じなんですよね。斜に構えて少しひねっているように見えるけど実はシンプルで真っ直ぐなロックバンド。

アジカンのベストアルバムのインタビューは、実はかなりいいインタビューなのではないかと自負しております。ベテラン大物バンドのメンバーに「一番好きな曲は?」なんてなかなかびびって訊けないですが、インタビュー序盤の潔いじりで油断したのか4人ともスラスラと答えてくれました。作戦成功です。

そして吉井和哉と渋谷龍太の初対談。写真を見ていただければ一目瞭然ですが、今の音楽シーンでこのビジュアル世界をこの濃さとこの衝撃性で出せるアーティストはこの2人しかいません。犯罪スレスレです。こういうロック写真、ひさびさにJAPANに登場したね、と思ってくださる読者も数多いのではないでしょうか。
ただし対談のほうは妙に初々しくて犯罪の匂いどころか学びの場という感じで、お互いのピュアな思いが行き交う素敵な空気感でした。

そんなわけで今月も全力で頑張りました。いかがだったでしょうか。来月号もよろしくね。(山崎洋一郎)


ロッキング・オン・ジャパン最新号 『激刊!山崎』より
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