大瀧詠一という文化

大滝詠一『Best Always』
2014年12月03日発売
ALBUM
大滝詠一 Best Always
昨年末に急逝した大滝詠一氏の、はっぴいえんど時代の曲からソロとして発表したもの、提供曲などシングルを中心に35曲をコンパイルした2枚組。いまやスタンダードと言ってもいい曲も多いが、70年代作を主に収録したDisc1は、若々しい遊び心が覗く“恋の汽車ポッポ”やサイダーの名CM曲など、アイディアや才能に溢れた曲が並ぶ。こちらの目玉は吉田美奈子、シリア・ポールの歌で知られる名曲“夢で逢えたら”の本人歌唱の未発表ヴァージョン。Disc2は80年代以降の作になるが、“君は天然色”から最新曲になる竹内まりやとのデュエット“恋のひとこと”など,スタンダードの名手としての彼を浮かび上がらせる。何よりも2枚を通じて素晴らしいシンガーである彼に出会うことができるのだ。ポップスの歴史にも構造にも造詣の深かった彼ならではの、曲でありアレンジでありサウンドであり、それは今の日本で流れるポップスの礎のひとつであり、大滝詠一という人が培った文化と言ってもいい。初CD化も多くミックスも新旧入り交じり様々なだけに、もし本人が手掛けたらと想像したくなる。(今井智子)
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