希望の祈り

GOOD ON THE REEL『6番線の箱舟』
2014年12月10日発売
MINI ALBUM
GOOD ON THE REEL 6番線の箱舟
ヴォーカルの千野隆尋が歌う姿を初めて見たとき、生き物としての強い生命感を感じゾクゾクした。昂る感情を真正面から突き付けて圧倒するのではなく、生きることへのひたむきな「叫び」に聞こえた。さらにその叫びに人間の本質を貫く鋭さとえぐみがあるからこそ、深く飲み込まれ、同時に自身のエモーショナルな心の内も露になり、どうしようもなく泣けてくる。そして自分が確かにここに生きていることを実感するために、吐露された様々な感情をひとつひとつ追体験するために、GOOD ON THE REELの音が手放せなくなっていく――。隠し持っている感情に向き合うのは辛い作業でもあるけれど、彼らの歌には強い希望がある。1曲目“水中都市”に表れた、流されるままに生きることへの焦燥感と迷いや痛み。大きく踏み出したいけれど、これが現実だからと諦めてしまう日常。だけど息を切らして走り、もがき、生きていると叫ぶのだ。その人間らしさがそういう生き方への贖罪に繋がってもいく。千野の等身大さに温もりを感じながら、目をつぶって心静かに身を委ねたくなるミニアルバム。素晴らしい。(石井彩子)
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