ロック・バンドの発言権

the quiet room『Life is wonder』
2015年01月14日発売
MINI ALBUM
《世界の果てまで届くような/声なんて出ないんだけど/今少し間を埋めるような柔らかい歌を/口ずさめればそれでいいのよ》。思わず、“Humming Life”の最初のセンテンスを書き出してしまったが、鮮烈でスコーンと抜けるほど爽やかなサウンド&メロディを武器に「独り言」を吐き出しているようなバンドである。一見自信なさげなのに、音楽が既に発言権を勝ち取っているという倒錯。ロックの世界では、こういうややこしさもスッと伝わるので面白い。

RO69JACK 2014でグランプリを勝ち取ったthe quiet roomのミニアルバムである。音の粒子を飛沫のように撒き散らし、瑞々しくグルーヴする全6曲は、どこを切ってもリスナーの心を弾ませてくれる。バンド名を鵜呑みにして、落ち着いた音楽を鳴らすバンドだと思うなら大間違いだ。スウィングしつつ日本人らしい湿度のコミュニケーションを育むロック・チューン“雨上がりの午後に”も良い。10月に前任のドラマーが脱退し、サポートメンバーを加える編成で活動を続ける。2月9日には渋谷eggmanにて初のワンマンも開催予定なので、ぜひチェックを。(小池宏和)