笑いながらも鼻の奥がツーンとしてしまう感覚は、卒業アルバムをめくる時に似ている。才能があって、キャラが濃くて、志が高いメンバーが集まっているのに、何故か堅苦しくならず、寧ろ自然に音楽とたわむれている様子が印象的だったバンド。
それはきっと、このメンバーだったからだろう。全員が、見事に積み上げたキャリアから離れて、インストバンドSAKEROCKの一員として向き合った今作は、彼らが奇跡の集合体だったと証明する輝きに満ちている。歌がないのにユーモアも毒も愛もビシビシ伝わってくる彼らの音楽は、本当に心地好かった。往生際の悪い私は、ついつい同窓会を待ち望んでしまうけれど、最高のさよならをありがとう。(高橋美穂)