『大人計画テレビ』を6時間10分にわたってぶっ通しで観た!!!!!!

3月31日にNHK BSプレミアムで、『朝まで「大人計画テレビ」~松尾スズキと25人の仲間たち~』が、22:50~翌5:00まで、6時間10分にわたって放送された。
大人計画の劇団員である15人と、劇団員ではないがマネージメントとして有限会社大人計画に所属している11人(という構造であることが番組冒頭で説明された)、全員が出演。
劇団員全員が出演する形での「本公演」は2012年の『ウェルカム・ニッポン』を最後に行われていないし、ましてや劇団員以外の役者も含めた全員が一堂に会する機会、となると、普段、まずない。という点でまず非常にレアだし、全員のトークを聴けるという点でも、過去の秘蔵映像がばんばん観れるという点でも、とてもとてもレアな番組だった。

番組は「第一章 夜明け前」、「第二章 創世記」、「第三章 成長期」、「第四章 侵食期」、「第五章 拡散期」、「第六章 隆盛期」、「第七章 大人計画のこれから」の7つの時代に分けて、大人計画の歴史を振り返っていく構成。
司会のNHK阿部渉アナウンサーと松尾スズキが最初から出ずっぱりで、章ごとにその時期に大人計画に入ったメンバーが加わり、入団のきっかけや当時の思い出を語り、その頃の舞台などの映像を観る、というふうに進んでいく。
最初に宮藤官九郎・顔田顔彦・池津祥子・伊勢志摩が登場してから、最後の篠原悠伸・上川周作が登場するまでに、5時間半を要した。

VHSビデオで撮った、画像の粗い初期の舞台の映像あり。公演の時に販売したというオリジナルの映像作品あり(宮藤が自宅アパートでひたすらダビングしまくった、というエピソードが明かされた)。WOWOW等で放送するようになって以降の、ちゃんとした舞台映像も、もちろんあり。
中でもうれしかったのは、過去にNHKが作った大人計画関係の番組が、まるごとノーカット放送されたこと。
2000年の『トップランナー』の松尾スズキ出演の回、2003年の『トップランナーSP グループ魂』、2006年に「18年目の学園祭~大人計画フェスティバル」が行われた時の特番2本(グループ魂はもちろん、松尾スズキのママさんコーラス、SAKEROCK、平岩紙の紙オケ、リリー・フランキーがボーカルで富澤タクa.k.a遅刻がギターのTOKYO MOOD PUNKS、宮崎吐夢とじゃがいもの会のライブ映像もあり!)の、合計4本。
さらに2018年暮の「大人計画30祭」から『松尾スズキ30周年記念ファミリーコンサート “なんとかここまで起訴されず”』と、松尾×宮藤のふたりコントもオンエア。これは私、チケット取れなくて観れなかったので、特に「おおっ!」てなりました。

さらに、それらの合間合間に、大人計画メンバーの身長・血液型・出身地・普通自動車免許保持率をデータ化して検証するコーナーや、松尾スズキが再演したい作品ベスト3と、お気に入りの芸名ベスト3を、みんなで当てるコーナーや、全員が答えた「大人計画でいちばんしゃべりやすい人は?」を発表するコーナーや、松尾スズキに与えられた演出の言葉で記憶に強く残っているものを発表するコーナーもあり。
それらは、NHK静岡の女性アナウンサー佐藤あゆみが進行したり、宮崎吐夢や顔田顔彦がMCしたりするんだけど、その佐藤アナのパートに、ちょいちょい変なボケが入ってくる。血液型比率の円グラフが風呂桶の底に貼られていたり、出身地分布図がセアカゴケグモの発生分布図と重ねられたり。なんだろう?と思いながら観たが、番組最後のスタッフロールの「構成:平松政俊 天久聖一」を見て納得しました。天久さんだったのね。

ともあれ。大人計画、30年の歴史の全部ではないけど20年くらいは追って来たし、松尾スズキか宮藤官九郎が作・演出の芝居は(大人計画以外のものも含め)9割以上は観ているし、松尾・宮藤の本はもちろん宮崎吐夢の本もコンプリートしているので、そこそこ詳しいつもりでいたが、そんな僕でも「えっ、知らなかった!」というエピソードが、まあ出てくる出てくる。
あんまりおもしろくて、翌朝午前7時起きだったのに、番組終了の5時まで観通してしまった。

第六章が始まったところで、阿部アナに「ここまで振り返ってみていかがですか?」と問われた、松尾スズキと宮藤官九郎の答えが、何かとても印象的だった。
松尾「こうして観てみると、今やってること、最初の年に全部入ってたような気がする。映像も撮ってたし、バンドみたいなこともやってたじゃないですか?」。
宮藤「こんな長くやるってわかってたら、やってたかな?って思いますね」。

それから、第七章の「大人計画のこれから」では、これから大人計画でやりたいことや夢などを、全員が挙げていく内容。その最後に夢を訊かれた松尾スズキの答え。
「表現の聖域っていうかな、劇場の中、映画館の中ではもっともっと自由でいいんだぞっていうことは、うちらは守っていきたいなと思います。それは夢っていうか、今、実際やってることなんだけど。大人計画のチラシに、『この芝居には過激な表現があるので、気持ち悪くなるような方は観に来ないでください』とか書く未来が来なけれゃいいな、と思いますね」。
これ、何十年も彼が言い続けてきたことと同じなんだけど、今この時代だと、さらに切実でさらにシリアスに感じた。

なお、5月25日(土)23:45~翌朝5:55まで再放送が決定。のがしてしまった方はぜひ録画を。

あ、それからもうひとつ。それぞれのメンバーにトークの順番が回ってくる時、おもしろい人もいればそうじゃない人もいるし、アドリブでパッと良いことを言う人もいれば、それ自体をハナから放棄している人もいるし、流暢な人もいれば自己紹介の自分の名前を噛む人もいて、実にさまざまだった。そのさまざまなこと自体も、とてもおもしろかったんだけど、それらの中にあっても、星野源のトークスキルってずば抜けているなあ、と、改めて思った。
いついかなるタイミングでも、芯を食ったことを、必要なだけの言葉の量で濃くわかりやすくおもしろく伝える能力、すごい。いや、いつもそうなんだけど、数多くの先輩たち・後輩たちの中に混じることで、よけいそれが浮き彫りになっていた。
先輩たちに、「フリートークってこういうことだよ?って、村杉くんに届けてあげて」と、称賛されてました。(兵庫慎司)
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