まず、フロントマンであるイーサン・ラモンをはじめとするこの6人の面構えと立ち姿を見てみてほしい。不遜で、不敵で、それでいてどうにもフラジャイル。ロックバンドという共同体に対し何らかの理想や憧憬を抱き生きてきた者ならば、何らかを感じ入らずにはいられないはず。その直感の正しさを、はじめに保証しておこう。
まだ一度もライブをしたことがない状態であったバンドの送ったデモ音源に名門ラフ・トレードの創始者ジェフ・トラヴィスとジャネット・リーが即反応し、契約に至ったザ・ソフス。これまでリリースされた数曲の時点でもそのポテンシャルは充分に感じられたが、満を持して3月13日にリリースとなるデビュー作『ゴールドスター』は、このバンドの無軌道に爆発するエネルギーを存分に刻み込んだ力作となっている。
ラテン×ゴス×ポストパンクなタイトル曲、叙情派ギターロックかと思えば終盤には演奏を排し摩訶不思議な合唱が繰り広げられる“ブリッツト・アゲイン”、白紙に墨汁が染み込むようにじわじわとカントリーからロックンロールへと移っていく“スウィーティーパイ”、ローファイなトーキングブルースにシャウトで着火する“ゼイ・トールド・ミー・ジャンプ、アイ・セイド・ハウ・ハイ”などなど、数多のリファレンスを隠そうともせず、アルバムを通じところ狭しとジャンルを横断していく。
イーサンの「盗みたいし、真似したいし、拝借したい」という言葉に偽りなく、オリジナリティなど犬に食わせておけ、俺が好きなこの音楽を俺の好きな俺が鳴らすことにこそ意味がある、とでも言わんばかりのこの堂々たる作法には、どうにも惚れ惚れしてしまう。
イーサンのボーカルスタイル、そして彼らのアティチュードから連想するのは、『ザ・ベンズ』以前のレディオヘッド。もしくはリッチー在籍時のマニックス。自身を取り巻く世界に対し強烈な違和感と嫌悪感を抱え、それを何とか発散する術を模索しつつ、兎にも角にも有り余る感情を吐き出さずにはいられずのたうち回る蒼く苛烈なロックである。つまりこれは、数年後には一変していてもおかしくない、ほかならぬ「今」聴くべき音だということだ。(長瀬昇)
ザ・ソフスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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