ここまでMCは最低限の謝意に留めていたプーマ・ブルーだが、不意に流暢な日本語で「ありがとうございます」と語りかけ、会場の空気をわずかに緩めたのち、後半戦へと突入した。クライマックスへと駆け上がる9曲の中でもハイライトとなったのは“Pretty”だった。スロウでムーディなストリングス、甘くもどこか物悲しいコーラス、そしてメロウなアルペジオギターが重なった瞬間、場の空気は一気に結晶化する。爆発的な熱量で押し切るタイプの楽曲ではない。しかし、美しいアウトロの中で《Feel so pretty / You make me feel so pretty / And I'm not pretty at all》と囁かれたその瞬間、観客それぞれが抱えていた感情が静かに解き放たれていくのを感じた。その後も“Want Me”、“Moon Undah Water”、“(She's) Just a Phase”といったキャリアを彩ってきた楽曲群が立て続けに披露され、アンコールの“Only Trying”と“Bruise Cruise”の2曲で幕を閉じた。より複雑化された音像の中で、剥き出しになっていく感情と身体性。プーマ・ブルーが提示したのは、ジャンルの更新や音楽的実験の先にある、聴覚だけでなく身体感覚に訴えかける“生の実感”そのものだったのかもしれない。内省と衝動がせめぎ合うその表現は、確かにこの夜、東京の観客の深層へと到達していた。静けさの中で確かな余韻を残した昨日のライブは、彼の新たなフェーズの始まりを告げる、決定的な一夜として記憶されるだろう。(北川裕也)---セットリスト---
プーマ・ブルーをZepp Shinjukuで目撃!
2026.04.04 12:00
ここまでMCは最低限の謝意に留めていたプーマ・ブルーだが、不意に流暢な日本語で「ありがとうございます」と語りかけ、会場の空気をわずかに緩めたのち、後半戦へと突入した。クライマックスへと駆け上がる9曲の中でもハイライトとなったのは“Pretty”だった。スロウでムーディなストリングス、甘くもどこか物悲しいコーラス、そしてメロウなアルペジオギターが重なった瞬間、場の空気は一気に結晶化する。爆発的な熱量で押し切るタイプの楽曲ではない。しかし、美しいアウトロの中で《Feel so pretty / You make me feel so pretty / And I'm not pretty at all》と囁かれたその瞬間、観客それぞれが抱えていた感情が静かに解き放たれていくのを感じた。その後も“Want Me”、“Moon Undah Water”、“(She's) Just a Phase”といったキャリアを彩ってきた楽曲群が立て続けに披露され、アンコールの“Only Trying”と“Bruise Cruise”の2曲で幕を閉じた。より複雑化された音像の中で、剥き出しになっていく感情と身体性。プーマ・ブルーが提示したのは、ジャンルの更新や音楽的実験の先にある、聴覚だけでなく身体感覚に訴えかける“生の実感”そのものだったのかもしれない。内省と衝動がせめぎ合うその表現は、確かにこの夜、東京の観客の深層へと到達していた。静けさの中で確かな余韻を残した昨日のライブは、彼の新たなフェーズの始まりを告げる、決定的な一夜として記憶されるだろう。(北川裕也)---セットリスト---