『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
数あるビーバーの名曲の中でも、きっと今まで以上に「自分の曲」だと感じる人が多い歌。これを言ってはいけない、これは望むべきではないと、人の輪の中にいる自分を意識するほど信念とわがままの境界がわからなくなる。でも少なくとも涙が出るほど願っていることは、信じて、大切にするべきなのではないか。自分を大切にすることと、周りの人を大切にすることは両立できるから――自分の気持ちを見失いそうになるくらい涙が止まらない、葛藤の中にいる人の背中をそうやって優しく押せるのは、白か黒かで言い表せない感情への解像度がものすごく高いから。ライブに来ているのは「お客さん」でなく「仲間」だとビーバーは常々口にしているが、あなたを仲間だと思っているからこその、正解を決めつけずいろんな角度で寄り添おうとする温かい応援歌だ。そして、歌詞を心の奥まで響かせるために細部までこだわったバンドアンサンブルが、その想い通り、心に留めておいてほしい言葉たちを何度聴いても色褪せぬよう輝かせている。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』3月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。